DAWの革新性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 03:08 UTC 版)
「デジタル・オーディオ・ワークステーション」の記事における「DAWの革新性」の解説
DAW(HDR)の登場によって、マルチ・トラックでパートごとに録音するような場合、従来の「録音するときは既に録音されている自分のパートは上書きされて消える」という録音方式から、「録音しても前のデータは背面に残る」という非破壊レコーディング方式へと変わった。テイクを重ねたいときなど、前のテイクを残しつつどんどん違ったテイクも試せるので、自由度が格段に向上した。演奏または歌唱者側からすれば、レコーディング時の精神的圧迫の軽減も期待できる。 録音されたデータはコンピューター画面上では「リージョン」という波形のかたまりで表示され、波形の色及び高さから幅まで編集しやすい形に自由に変えられる。従来のテープベースのレコーディングにおいては、記録された音声は、オーディオ入出力を示すメーターと耳により時間経過に従って確認するしかなかった。この「リージョン」により、音声の時系列変化を視覚的・図形的に扱えるようになり、編集などが格段に効率的になった。 録音出来る最大トラック数も、セッションのサンプリング周波数やビット数により変化はあるものの、機種によっては44.1kHz/16bitで最大128トラックを超える。必要に応じてシンクロナイザーで複数台を同期させていたテープベース録音とは、利便性の面で圧倒的な違いがある。その事によって、多数の音素材を扱う映画の世界への普及も進んだ。 映画制作の現場においては、「台詞」「環境音」「BGM」「SE」など、様々な音を種々のシーン毎に編集する必要がある。このため、時系列変化を視覚化し編集できるというDAWのメリットは、映画製作において大きな効果を発揮し、映像との同期編集が容易であることとも相まって、DAWの普及を後押しした。 従来、プロフェッショナル用のレコーディング・システム構築には億単位の高額な投資が必要であった。しかし、DAWを導入することにより、レコーダーやミキシング・コンソールから各種エフェクターまで、スタジオ設備一式が数百万円程度で揃ってしまう。また、機材数は減少し、メンテナンスが圧倒的に省力化した。これらによるコストダウンにより、業務用スタジオへの導入が相次いだばかりでなく、アーティストによるプライベート・スタジオの構築も比較的容易になった。
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