CIAとFBIとホワイトハウスの暗闘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 07:52 UTC 版)
「ウォーターゲート事件」の記事における「CIAとFBIとホワイトハウスの暗闘」の解説
ウォーターゲートビルに侵入して逮捕された者の中に元CIA工作員ジェームズ・マッコードやゴードン・リディ、そしてハワード・ハントの名前が出てきたことが、陰に陽にCIAに微妙な影響を与え、やがて国民の知らないところでFBIも巻き込み、ホワイトハウスとの暗闘が1972年6月18日から起こっていた。日付をもとにその動きは以下の通りである。 6月17日 - 侵入事件当日の夜遅く、ヘルムズCIA長官の自宅にCIA保安部長ハワード・J・オズボーンから電話がかかってきた。かってオズボーンの配下にマッコードがいて、ヘルムズも知っている人間であった。この時にハワード・ハントも絡んでいることを聞いてCIA長官は「いったい何をしていたのか?」と語った。そしてすぐにヘルムズはグレイFBI長官代行へ電話し、「ウォーターゲートビルに侵入した者はホワイトハウスが雇った者でCIAは何の関係もない」と伝える。 6月18日 - FBI特別捜査監督官ダニエル・ブレッドソーは、ゴードン・リディの名前を見て驚く。10年前に会ったことがあった。そして夕方午後4時頃にホワイトハウスから電話が入る。アーリックマン補佐官からで「FBIは侵入事件の捜査を打ち切るべきだ」との意見に「憲法の下で違法行為の有無を判断するため捜査開始が義務付けられている」と返す。「君は大統領の命令にノーと言っているのと同じことが分かっているのか」「はい」「ブレッドソー君、君のキャリアは終わりだ」そう言ってアーリックマン補佐官は電話を切った。すぐにマーク・フェルトFBI副長官の自宅に電話して一部始終を報告すると、副長官はただ笑うだけであったという。 6月19日 - FBIではフェルト副長官がグレイ長官代行に捜査がホワイトハウスに及ぶかも知れない旨の連絡をした。一方CIAでは朝9時から幹部会議があり、ヘルムズ長官は「ひどいことになるだろう」「彼らがホワイトハウスで仕事をしていることは知っていた」と述べた。 6月21日 - FBIでは、夕方午後4時から侵入事件に関する初めての公式会議を招集。「捜査は完全に公平無私、綿密周到、完全無欠でなければならない」ことで一致した。この時にグレイ長官代行はディーン法律顧問に捜査と取調べの概要を毎日渡すことを密かに考えていた。 6月22日 - FBIはチャールズ・コルソンを取調べる。傍にディーンを同席させていた。この時にコルソンはハントが金庫を持っていたことに触れたが、同席したディーンは「知らない」とシラを切った。この前々日の20日にディーンはハントの金庫から書類を取り出していた。 6月23日 - ニクソンとハルデマンとの話し合いで、国家安全保障を理由にFBIの捜査を止めさせる計画を決めた。CIAのヘルムズ長官とウォルターズ副長官を呼び出す。午後2時半にウォルターズCIA副長官はグレイFBI長官代行を訪ね「捜査はCIAの領域を侵害するかもしれない」として捜査の中止を求めた。退室後にグレイ長官代行は部下のチャールズ・ベイツに電話して手を引くように伝えたが、ベイツは「FBIとして選択の余地はない」として反対した。 6月26日 - ディーン法律顧問がウォルターズに侵入犯への手当をCIAが負担するように要求。 6月27日 - ディーンが再度ウォーターズに要求。ヘルムズ長官はそれを聞いて「ホワイトハウスの言う通りにしたら私は刑務所へ行き、CIAは終わりだ」と話し拒否する。 6月28日 - ヘルムズCIA長官が外遊。ディーンがグレイFBI長官代行にハントの金庫から出した書類の封筒を渡す。 7月06日 - ウォルターズCIA副長官とグレイFBI長官代行とが話し合い、グレイはウォルターズに捜査を打ち切るには「それを求めるCIAからの書面による命令が必要になる」と答える。その後、グレイはニクソンに電話して「CIAを操ってあなたのスタッフがあなたに致命傷を負わせようとしている」と伝えると、ニクソンはしばらく「不気味な沈黙」が続いた後にグレイに捜査を行うように命じた。
※この「CIAとFBIとホワイトハウスの暗闘」の解説は、「ウォーターゲート事件」の解説の一部です。
「CIAとFBIとホワイトハウスの暗闘」を含む「ウォーターゲート事件」の記事については、「ウォーターゲート事件」の概要を参照ください。
- CIAとFBIとホワイトハウスの暗闘のページへのリンク