AFCS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/12 20:56 UTC 版)
「オートパイロット」も参照 AFCS(自動操縦装置、Automatic Flight Control System、Auto-pilot)は、飛行姿勢の安定化と、飛行高度と方向の変更、航法誘導を自動的に行う装置システムである。これら主要な3機能はAFCS内で互いに連携して働いて、現実の機体制御出力では一体のものとなるが、個別に分解して以下に示す。 飛行姿勢の安定化 機体が外力を受けることでロール、ピッチ、ヨーの各方向に対して揺れが発生する。この揺れを最小限に抑える。また、推力の不均衡やダッチロールといった内的要因に対する是正もこの機能が担う。 飛行高度と方向の変更 操縦士や航法装置の指令に従って、機体を上昇・下降・旋回させる。旋回時にはヨー制御だけでなく釣合旋回と呼ばれるロール制御も同時に要求される。 航法誘導 電波や慣性運動の変異を測るセンサーなどで飛行方向や位置、それらの変位量等を知り、設定値と照合しながら自ら判断して誘導を行う。 大型旅客機のAFCSには一般的に、Gyroモード、Turn-Knobモード、HDG SELモード、ALT Holdモード、GAモード、VOR/LOCモード、ILSモード、INSモード、FMSモード、LANDモードがある。 Gyroモード(Attitude Hold Mode、姿勢保持モード)では、ロール角を中立に戻す以外はピッチ角と機体の方位をモード設定時のまま保つように働く。Turn-Knobモード(Attitude Control Mode、姿勢制御モード)ではターン・ノブとピッチ・ノブの設定値になるようにそれぞれロール角とピッチ角が変更・維持されることで機体の姿勢が変更され維持される。HDG SELモード(Heading Select Mode、機首方向設定モード)では、あらかじめ水平位置指示計でHDGノブで変更すべき方位を設定してからHDG SELモードスイッチを入れることで、設定方向へ旋回し、水平飛行状態を維持する。ALT Holdモード(Attitude Hold Mode、高度保持モード)では、同じ高度を維持する。GAモード(着陸復行モード)は着陸復行を行うモードである。 以降は航法情報に基づいた誘導に従った飛行を行うモードである。VOR/LOCモードでは、あらかじめ水平位置指示計のHDGノブで変更すべき方位を設定しておき、VOR局が受信できたらVOR/LOCモードスイッチを入れることで、設定した角度でVOR局へ飛行できるまで直進してから設定方向へ旋回しVOR局へ向って飛行を維持する。VOR局を越えても方位を保つ。ILSモードでは、あらかじめ水平位置指示計のHDGノブで変更すべき方位を設定しておき、ILS信号が受信できたらILSモードスイッチを入れることで、ローカライザ・ビームを受信して自動的に誘導され滑走路方向へ近づく。やがてグライドスロープ・ビームによる誘導に従って自動的に降下する。飛行士は200フィートなどの一定高度まで降下すると、AFCSを停止して手動操縦を行う。INSモードは慣性誘導装置による誘導である。FMSモードは飛行管理コンピュータであるFMSを使用した誘導である。LANDモード(自動着陸モード)は自動着陸を行う。 フライト・ディレクタ (Flight Director) は、設定した飛行姿勢を保つのに必要なロール軸とピッチ軸の操縦操作を姿勢指示計 (Attitude Director Indivcator; ADI) に表示するシステムである。
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