9to5Macとは? わかりやすく解説

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9to5Mac

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/12 14:08 UTC 版)

9to5Mac
URL 9to5mac.com
言語 英語
タイプ ニュースサイト
運営者 925, LLC(セス・ワイントローブ)
設立者 セス・ワイントローブ
編集者 チャンス・ミラー
営利性 営利
開始 2007年3月15日 (19年前) (2007-03-15)
現在の状態 運営中
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9to5Mac(ナイントゥファイブマック)は、Appleとその製品・サービスを中心に扱うアメリカ合衆国のテクノロジーニュースサイトである。セス・ワイントローブ(Seth Weintraub)によって2007年に設立され、Appleの未発表製品やソフトウェアに関する独自報道、リーク情報の分析などで知られる[1][2]。

同サイトは、ワイントローブが展開する「9to5」ネットワークの最初の媒体であり、後に9to5Google、9to5Toys、Electrek、DroneDJ、SpaceExploredなどが加わった[3]。ネットワークはワイントローブが925, LLCを通じて所有している[3]。編集長はチャンス・ミラー(Chance Miller)[4]。

歴史

創設と初期のスクープ

9to5Macは2007年、ワイントローブが妻の研究滞在に伴ってフランス・パリに住んでいた時期に設立された。当時ワイントローブはMac関連のIT業務から休職しており、同時に『Computerworld』で執筆活動を行っていた[3][1]。サイト名の「9to5」は、当初、職場や企業におけるMacの利用を主な対象としていたことに由来する[1]。

2007年3月12日付の初期の説明ページでは、サイトを世界各地の「Mac Managers」と企業向けMacの利用者によるコミュニティと位置付けていた[5]。同月15日には「Welcome to 9to5Mac.com」と題した開設告知が掲載され、ニュース、レビュー、Macに関する情報、求人情報などを掲載する方針が示された[6]。

創設当初はワイントローブが1日に数本の記事を執筆する小規模なサイトだったが、数か月後、当時未発表だった第3世代iPod nanoの短く幅広い筐体デザインを報じたことでアクセス数が増加した[1]。9to5Macは同年7月にこの形状を示すモックアップを公開し、8月には実機とされる写真を掲載した。Appleの法務部門は、この写真を転載した複数のウェブサイトに削除を要求した[7]。9月に発表された第3世代iPod nanoは、9to5Macが掲載した形状、色、写真と一致していた[8]。

同年には、新型iMacのアルミニウム筐体、新しいApple Keyboard、iWorkへの表計算ソフトの追加なども発表前に報じた。MacRumorsは2007年8月、これらの報道の多くが実際の発表と一致したことから、新設された9to5MacがAppleの未発表製品に関する情報源を持っていると評価する一方、17インチiMacが存続するとの予測など、外れた情報もあったと指摘した[9]。

マーク・ガーマンと9to5ネットワークの拡大

マーク・ガーマンは高校在学中の2010年に9to5Macで記事執筆を始めた。『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー』によれば、ワイントローブはガーマンの情報収集能力に注目して採用し、ガーマンはAppleの製品開発に詳しい関係者などから情報を得ることで、多数の未発表製品・ソフトウェアについて報道するようになった[10]。

2012年5月には、9to5Macが次期iPhoneとされる筐体写真を掲載した。ピュー研究所のProject for Excellence in Journalismは、この写真が同年5月28日から6月1日にかけてブログ圏で広がった次期iPhoneをめぐる議論のきっかけになったと分析している[2]。ガーマンはこのほか、Siri、AppleによるGoogle Mapsから独自地図への移行、Retinaディスプレイ搭載Mac、2015年の12インチMacBookなどについて発表前に報じた[10][11]。

一方で、ワイントローブは2011年に『Fortune』を退職し、9to5を本業とした[3]。同年、サイトの高トラフィックに対応するため9to5MacはWordPress.com VIPへ移行し、同じ基盤を用いた9to5Googleと9to5Toysが新たに設立された[12]。さらに2013年には電気自動車や再生可能エネルギーを扱うElectrekが設立された[13]。9to5Macの公式沿革では、その後DroneDJが2017年、SpaceExploredなどが2020年に加わったとしている[3]。

ガーマンは2016年6月に9to5Macを離れ、Bloomberg Newsへ移籍した[14][15]。

ソフトウェア解析による報道

ガーマンの退社後も9to5Macは、未公開のソフトウェアやファームウェアを解析する手法によってApple製品の情報を報じた。2017年7月、Appleが発売前のHomePod用ファームウェアを誤って公開すると、開発者で9to5Mac執筆者のギリェルメ・ランボ(Guilherme Rambo)がそのコードを解析し、未発表のiPhoneを示す「D22」というコードネームや、顔認証機能を示す「Pearl ID」、ホームボタンのない端末の図などを発見した[16]。これらは同年9月に発表されたiPhone Xの特徴と一致した。

同年9月には正式発表前のiOS 11のゴールデンマスター版が流出し、9to5MacとMacRumorsが入手した。コードの解析から「iPhone X」「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」という製品名、Face ID、AnimojiなどがAppleの発表イベント前に判明した[17]。

2019年にはランボが、次期macOSにiPadをMacの外部ディスプレイとして利用する機能が搭載されると報道した[18]。同時期には、iTunesがMusic、Podcasts、TVなどの独立したアプリケーションに分割されることも報じられた[19]。Appleは同年6月にmacOS Catalinaを発表し、iTunesのMusic、Podcasts、TVへの分割と、iPadを外部ディスプレイとして利用する「Sidecar」を正式に発表した[20]。

ランボは同年4月、Appleが「iPhoneを探す」と「友達を探す」を統合したアプリケーションと、持ち物を追跡するTileに似たタグ型アクセサリを開発しているとも報道した[21]。前者は2019年に「探す」として導入され、後者は2021年にAirTagとして発表された[22]。

2020年には、正式発表の数か月前からApple内部用の初期版iOS 14が外部に流出していた。『VICE』傘下のMotherboardによれば、9to5Macもそのコピーを入手し、同年の数か月間にコードから判明した情報を継続的に報じていた[23]。

Mac Studioの報道

2022年3月4日、9to5MacはAppleが「Mac Studio」と呼ばれる新しいデスクトップコンピュータを開発していると独自に報じた。記事では、Mac miniを基礎としながらより高性能なハードウェアを搭載し、M1 Max搭載モデルと、それを上回るAppleシリコンを搭載するモデルが開発されているとしていた[24]。MacRumorsも同日、この9to5Macの報道を取り上げた[25]。

4日後の3月8日、Appleは「Mac Studio」を正式発表し、M1 Maxおよび新たに発表したM1 Ultraを搭載すると明らかにした[26]。

運営と収益モデル

9to5ネットワークは広告を主要な収益源の一つとしている。2019年に『Digiday』が報じたところでは、9to5では各執筆者の記事にプログラマティック広告を表示し、その広告を執筆者自身のAdSenseアカウントへ直接結び付ける報酬制度を採用していた。これにより、執筆者の報酬は担当記事のパフォーマンスと連動していた[27]。

同記事によると、2019年時点の9to5ネットワークはニュース、エンジニアリング、広告営業などを含めて約20人のフルタイム従業員を擁し、フリーランサーや外部コンサルタントを含めると約40人規模だった。Comscoreによるネットワーク全体の月間ページビューは平均約4000万とされた[27]。ワイントローブは同誌に対し、外部のベンチャーキャピタルから資金を調達せずに運営していると説明し、スポンサードコンテンツが収益成長の主要因になっていると述べている[27]。

現在の9to5Macは、外部サイトへの商品リンクなどに可能な場合は自動的にアフィリエイトタグを付加すると説明しており、Amazon Associatesなどのアフィリエイト広告プログラムにも参加している[3]。これは、執筆者へのAdSense広告収益連動型報酬制度とは別の収益手段である。

評価と影響

2012年のピュー研究所の分析では、MacRumors、BGR、TechCrunch、9to5MacなどのApple・テクノロジー系媒体は、未発表製品の情報を継続的に追う専門的な書き手による媒体として取り上げられた。同研究では、9to5Macが公開した次期iPhoneとされる筐体写真が、その週のブログ圏におけるApple関連の議論を活発化させる契機となったと分析された[2]。

また2013年に『Journal of Information Science Theory and Practice』に掲載されたブログの影響力に関する研究では、2012年7月時点のTechnorati Authorityが9to5Macで779、MacRumorsで742であったことから、両サイトが影響力のあるApple関連ブログとして分析対象に選ばれた[28]。同研究で用いられたJaccard係数は、9to5Macそのものの順位を示す指標ではなく、各ブログ投稿間の内容類似性などを分析するために用いられた。

『Business Insider』は2014年の特集記事で、9to5Macが『ニューヨーク・タイムズ』や『ウォール・ストリート・ジャーナル』などにも継続して引用されるAppleニュース媒体へ成長したと報じた[1]。また『コロンビア・ジャーナリズム・レビュー』も、ガーマンによるApple内部情報の取材方法や9to5Macでの報道活動を詳細に取り上げている[10]。

情報源への支払い問題

2018年、9to5Macの執筆者だったギリェルメ・ランボは、同年発売予定だったiPad Proに関する情報を含むデータと引き換えに、情報提供者へ2回に分けて合計約500ドル相当のBitcoinを支払った[29]。この事実は2021年にMotherboardによって報じられた。

ランボはMotherboardに対し、この支払いについて9to5Macの上司には知らせていなかったと説明した。ワイントローブも、9to5Macは当時もその後も情報源に金銭を支払わない方針だったと述べた[29]。報道後、9to5Macは該当する2018年の記事を削除し、「9to5Macの情報源に関する方針」を理由とする告知に置き換えた[29]。

脚注

  1. 1 2 3 4 5 Smith, Dave (2014年10月14日). “How An IT Guy Stranded In Paris Turned Himself Into The Most Powerful Source Of Apple News” (英語). Business Insider. 2026年9月12日閲覧。
  2. 1 2 3 “Smartphone Speculation Soars on Social Media” (英語). Pew Research Center (2012年6月7日). 2026年9月12日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 6 “About 9to5Mac” (英語). 9to5Mac. 2026年9月12日閲覧。
  4. ↑ “Chance Miller, Author at 9to5Mac” (英語). 9to5Mac. 2026年9月12日閲覧。
  5. ↑ “About 9 to 5 Mac” (英語). 9to5Mac (2007年3月12日). 2026年9月12日閲覧。
  6. ↑ “Welcome to 9to5Mac.com” (英語). 9to5Mac (2007年3月15日). 2026年9月12日閲覧。
  7. ↑ Kim, Arnold (2007年9月4日). “'The Beat Goes On' Rumor Roundup [Updated]” (英語). MacRumors. 2026年9月12日閲覧。
  8. ↑ Kim, Arnold (2007年9月7日). “'The Beat Goes On' Rumor Wrapup: Winners” (英語). MacRumors. 2026年9月12日閲覧。
  9. ↑ Kim, Arnold (2007年8月8日). “Rumor Wrapup: iMac, Keyboard, iWork, iLife. iPod Details? [Updated]” (英語). MacRumors. 2026年9月12日閲覧。
  10. 1 2 3 Rosenwald, Michael S. (2014年8月19日). “Apple can’t hide from a 20-year-old reporter” (英語). Columbia Journalism Review. 2026年9月12日閲覧。
  11. ↑ Innocente, Florian (2016年6月2日). “Mark Gurman, le serial rumeurs de 9to5mac s'en va chez Bloomberg” (フランス語). MacGeneration. 2026年9月12日閲覧。
  12. ↑ “9to5mac.com – Website Support” (英語). 10up. 2026年9月12日閲覧。
  13. ↑ “About” (英語). Electrek. 2026年9月12日閲覧。
  14. ↑ Smith, Dave (2016年6月1日). “Mark Gurman, one of the world's most influential Apple reporters, is leaving 9to5Mac for Bloomberg” (英語). Yahoo Finance. 2026年9月12日閲覧。
  15. ↑ “Bloomberg just hired 22-year-old Apple scoop machine Mark Gurman” (英語). Bloomberg Media (2016年6月1日). 2026年9月12日閲覧。
  16. ↑ Barrett, Brian (2017年7月31日). “How an iOS Developer Just Uncovered The Next iPhone” (英語). WIRED. 2026年9月12日閲覧。
  17. ↑ Barrett, Brian (2017年9月11日). “The Biggest iPhone Leak Yet Won’t Bruise Apple” (英語). WIRED. 2026年9月12日閲覧。
  18. ↑ Rossignol, Joe (2019年4月16日). “macOS 10.15 Said to Feature 'Luna Display-Like' Desktop Extension Functionality” (英語). MacRumors. 2026年9月12日閲覧。
  19. ↑ Gruber, John (2019年4月10日). “Guilherme Rambo: ‘MacOS 10.15 to Include Standalone Media Apps, Splitting iTunes’” (英語). Daring Fireball. 2026年9月12日閲覧。
  20. ↑ “Apple、macOS Catalinaを発表”. Apple (2019年6月4日). 2026年9月12日閲覧。
  21. ↑ Rossignol, Joe (2019年4月17日). “Apple Reportedly Working on Tile-Like Item Tracker Plus Merged 'Find My iPhone' and 'Find My Friends' App” (英語). MacRumors. 2026年9月12日閲覧。
  22. ↑ “Apple、AirTagを発表”. Apple (2021年4月21日). 2026年9月12日閲覧。
  23. ↑ Franceschi-Bicchierai, Lorenzo (2020年5月22日). “How iPhone Hackers Got Their Hands on the New iOS Months Before Its Release” (英語). VICE. 2026年9月12日閲覧。
  24. ↑ Espósito, Filipe (2022年3月4日). “Exclusive: ‘Mac Studio’ is coming – is it the pro Mac mini or mini Mac Pro?” (英語). 9to5Mac. 2026年9月12日閲覧。
  25. ↑ Clover, Juli (2022年3月4日). “Apple Developing 'Mac Studio,' Described as a Mac Mini and Mac Pro Hybrid” (英語). MacRumors. 2026年9月12日閲覧。
  26. ↑ “Apple、まったく新しいMac StudioとStudio Displayを発表”. Apple (2022年3月8日). 2026年9月12日閲覧。
  27. 1 2 3 Maxwell, Tom (2019年5月17日). “Going beyond its Apple roots, 9to5 sees success in new verticals” (英語). Digiday. 2026年9月12日閲覧。
  28. ↑ Tan, Luke Kien-Weng; Na, Jin-Cheon (2013). “Analysis of Bloggers’ Influence Style within Blog” (英語). Journal of Information Science Theory and Practice 1 (2): 36–57. doi:10.1633/JISTaP.2013.1.2.3 2026年9月12日閲覧。.
  29. 1 2 3 Franceschi-Bicchierai, Lorenzo (2021年8月18日). “9to5Mac Writer Paid Source $500 in Bitcoin for Stolen Apple Data” (英語). VICE. 2026年9月12日閲覧。

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