2018年から駿河湾で続く不漁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 08:10 UTC 版)
「サクラエビ」の記事における「2018年から駿河湾で続く不漁」の解説
2018年、春漁(4月10日〜6月3日)の19日間の出漁での水揚げ量は、記録が残る1986年以降で最低の約312トンとなったため、予定より早く打ち切った。不漁の原因は、2017年に水温の高い黒潮が大蛇行して湾に流れ込まなかったため、産卵する親エビが減少した、と考えられていた。同年秋漁(11月12日 - )は、12月10日の資源調査で水揚げに適さない体長35ミリメートル以下の稚エビ(0歳エビ)が63 - 76 %を占めたため、12月13日に打ち切られた。史上初めて一度も出漁しないまま秋漁を終えた。 2019年の春漁は、3月24日から6月5日の予定を早めて5月31日に打ち切られた。31日夜に水揚げされたサクラエビは、産卵エビがこれまでより明らかに多く含まれていることを目視で確認したことに因る。この春の漁獲量は約85トンで、不漁の昨年をさらに大きく下回った。 由比港漁協は、サクラエビの不漁に富士川水系の濁りが関係していて、富士川上流の早川上流にあり、堆砂が進む雨畑ダムが濁りの主因、と指摘。駿河湾に流れ出る放水路の懸濁物を静岡県が調査したところ、基準値25 mgを超える427 mgだった。1967年に完成した雨畑ダム(山梨県早川町)は民間が管理する発電用のダムで、堆砂率は93 %となり、国土交通省は「堆砂による上流部の河床上昇により浸水被害が発生しているため。」「ダムの安全性及び機能への影響が認められ、直ちに措置を講じる必要がある。 」としている。 静岡県が設置した有識者による「『森は海の恋人』水の循環研究会」では、日本軽金属が管理する雨畑ダムの水は複数の水力発電施設で使われた後、同社蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から駿河湾に流れ出て、堆砂が海底湧水の出口をふさいでいる、という仮説が提唱され、播磨灘のように海洋生態系に影響が出ている可能性が指摘された。同研究会は今後3年かけて不漁の原因などを探ることを確認した。 富士川の問題が主に静岡新聞によって提起される一方で、2020年には自主規制による禁漁区での操業が行われていたことが露呈し、2021年には禁漁区を保護区として調査を目的とする試験操業を行っている。これら禁漁区の設定については、資源回復の科学的根拠もなく取り締まりも無い『身内の談合』に近いものであることが露呈したとされ、拘束力のある漁業調整規則で乱獲を規制しない県の責任が指摘されている。
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