2006年NBAプレーオフにおける議論
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「NBAプレーオフ」の記事における「2006年NBAプレーオフにおける議論」の解説
例えば2005-06シーズンで、ダラス・マーベリックスとサンアントニオ・スパーズはウェスタン・カンファレンスに属する他のチームより抜きん出て良い成績を収め、ウェスタン・カンファレンス全体で1、2を争う位置にいたが、両チームとも同じサウスウェスト地区に属していたため、第1シードと第4シードで準決勝で戦う可能性があった。なぜなら上記にあるように、NBAでは地区のチャンピオンチームを地区で優勝していないプレーオフ参加チームよりも上位にシードするのが慣例となっていた。そのため同地区で優勝できなかった方のチームは同地区で優勝したチームに次いでウェスタン・カンファレンス全体の勝利数で2位になっても、他の2地区で優勝した2チームのほうが高いシードになってしまい、第4シードになってしまうからである。 結果、スパーズがサウスウェスト地区を優勝し、他の2地区で優勝した2チームを合わせた3チームの中で勝利数1位であったため第1シードとなり、マーベリックスは地区優勝できなかったため第1から第3シードを得られず、さらにウェスタン・カンファンレンス全体で勝利数がスパーズに次いで2位の成績であったため、ウェスタン・カンファレンス全体で3地区のチャンピオンチームを除いたチームの中で勝利数1位となり、第4シードとなってしまった。パシフィック地区のチャンピオンチームフェニックス・サンズは、ウェスタン・カンファンレンス全体で3位の成績を有していたが、第2シードとされ、ノースウェスト地区のチャンピオンチームデンバー・ナゲッツは、ウェスタン・カンファレンス全体で7位タイの成績でありながら、第3シードとされた。つまりスパーズとマーベリックスの両チームが勝ちあがった場合、カンファレンス決勝ではなく準決勝で対戦することになった。 さらにこのシーズン、スパーズとマーベリックスの両チームと同じウェスタン・カンファレンスに属するメンフィス・グリズリーズとロサンゼルス・クリッパーズは、各地区の勝者が確定しマーベリックスが第4シードとなることが決まった後のレギュラーシーズンの終盤に対戦があった。グリズリーズとクリッパーズは少なくとも第6シードは確保しており、どちらのチームが第5シードのチームとしてマーベリックスとプレーオフ1回戦で対戦するか、また7戦のうち4戦を敵地で対戦するかどうかを決めるのみであった。第6シードとなるチームは第3シードのデンバー・ナゲッツとホームで7戦中4戦を行う条件で対戦することとなっていた。その上、もし第5シードとなったチームが難敵マーベリックスを何とか破ったとしても、準決勝で第1シードのスパーズと対戦することはほぼ確実であった。第5シードとなるチームはカンファレンス決勝にたどり着くためには、カンファレンス上位の2チームを破る必要がある一方で、第6シードとなったチームはそれら上位2チームのうち1チームとだけ、しかもカンファレンス決勝までは対戦する必要がない状況となった。 このことから、グリズリーズとクリッパーズが、第6シードとなるためには負けたほうが良いとも言えるシーズン終盤の対戦でどれだけ本気で勝とうとするかについて疑問が持たれることとなった。結局クリッパーズがグリズリーズに敗れたが、クリッパーズがわざと負けたという証拠はなかった。プレーオフの第1ラウンドで、有利とされた第6シードのロサンゼルス・クリッパーズはデンバー・ナゲッツを5戦で破る一方で、第5シードのメンフィス・グリズリーズは優勢なダラス・マーベリックスに4連敗で敗れた。 ※()内はウェスタン・カンファレンス全体での順位。サクラメント・キングスとデンバー・ナゲッツは同じ勝利数で7位タイ。 ファースト・ラウンド カンファレンス準決勝 カンファレンス決勝 1 サンアントニオ・スパーズ(WC1位) 4 8 サクラメント・キングス(WC7位) 2 1 スパーズ(WC1位) 3 4 マーベリックス(WC2位) 4 5 メンフィス・グリズリーズ(WC4位) 0 4 ダラス・マーベリックス(WC2位) 4 4 マーベリックス(WC2位) 4 2 サンズ(WC3位) 2 3 デンバー・ナゲッツ(WC7位) 1 6 ロサンゼルス・クリッパーズ(WC5位) 4 6 クリッパーズ(WC5位) 3 2 サンズ(WC3位) 4 7 ロサンゼルス・レイカーズ(WC6位) 3 2 フェニックス・サンズ(WC3位) 4 この結果、「スパーズとマーベリックスがカンファレンスの2つのベストチームであるのに、カンファレンス決勝ではなく準決勝で対戦しなければならないことがアンフェアである」と多くの評論家やファンが考えることとなった。これは、ベストチーム同士の対戦がなるべくプレーオフの後のラウンドで対戦すべきことに反するからのみならず、プレーオフに参加する他のチームは組み合わせに恵まれれば、カンファレンス決勝までマーベリックスとスパーズのトップ2チームの双方と決勝まで対戦しなくて済むことができ、楽な時期を与えているということからであった。 このような事態を見てNBAは、2006年8月3日に、改正されたプレーオフのシード決定システムを発表した。新ルールでは、3つの地区の勝者と3つの地区の勝者以外で最も勝利したチームを含めた4チームで、勝利数にしたがって第1から第4シードまで割り振るシステムである。これにより3つの地区の勝者以外で最も勝利したチームも第2、第3シードを狙うことができる。残りの出場4チームも同様に、第1から第4シードまでのチームを除いた中でシーズン成績が上位のチームから、第5から第8シードまで割り振られた。チーム間で勝率が同率の場合、タイブレークの基準が定められており、(1)から順に適用される。 (-)勝率差があればタイブレークは不要。 (1)ディビジョン優勝チームが優越 (2)直接対決勝敗 (3)同カンファレンス内勝率 (4)同カンファレンス内のプレーオフ進出チームに対する勝率 (5)別カンファレンス内のプレーオフ進出チームに対する勝率 (6)すべての試合の総得点
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