ﾊﾞｲｵﾏｽﾎﾞｲﾗ

産業・環境キーワード

バイオマスボイラ

　木くずや紙くず、廃プラスチック固形燃料（ＲＰＦ）、廃タイヤなど各種廃棄物を燃料にする「バイオマスボイラ」を導入する企業が増えています。ボイラは燃料を燃焼させて水蒸気や温水を得るための熱源機器。従来の重油からバイオマス燃料にエネルギー転換することで、化石エネルギー起源二酸化炭素（ＣＯ２）排出量を大幅に削減できます。また、重油は価格が高騰しているため、その使用量を減らすことで業績への影響を軽減する効果も見込めます。
　バイオマスボイラの導入が進んでいる業界の一つに製紙業界があります。業界首位の王子製紙は２００４年に苫小牧工場（北海道苫小牧市）で同ボイラを初導入し、これまで６基を稼働させています。今年は富岡工場（徳島県阿南市）と日光工場（栃木県河内町）に設置します。業界２位の日本製紙グループ本社もこれまでの６基に続き、年内に白老工場（北海道白老町）で稼働させるなど今後４基の設置を計画しています。大王製紙や三菱製紙のほか、中越パルプ工業、紀州製紙など製紙中堅も同ボイラの追加導入を決めています。
　一方で、製紙業界に限らずバイオマスボイラの利用が進むことに伴い、中長期では廃材や紙くず、ＲＰＦなどのバイオマス燃料の獲得が競争になって調達が難しくなることも懸念されています。そのため今後はバイオマスボイラの新規設置と合わせて、これまで未利用だった林地残材や廃棄物など新たな燃料を見つけ出し利用していくことが課題になっています。
　例えば日本製紙グループ本社が設置する白老工場のバイオマスボイラは地元の北海道白老町と連携し、地域で発生する可燃ゴミを燃料に利用する計画を立てています。可燃ゴミは比較的安定的に発生する廃棄物であり、燃料として使いやすさがあります。また工場周辺でそれを獲得できるのもメリットです。
　バイオマス燃料を工場に運ぶ際にもトラックなどの物流でＣＯ２が排出されます。燃料を遠くから運べば、それだけＣＯ２排出量も増えるため、ＣＯ２排出量削減を目指してバイオマスボイラを導入しても燃料の調達方法によっては逆効果になる恐れもあります。


（掲載日：2008/06/20）