龍柱と中国脅威論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 08:21 UTC 版)
山田宏や青山繁晴をはじめとする日本の国会議員や、産経新聞などの大手マスコミによると、「龍」は元来、中国皇帝の権力の象徴である。そして中国皇帝が「5本爪」の龍を使用できるのに対し、朝鮮や琉球など中国の冊封体制に入った周辺諸国は「4本爪」の龍しか使用できなかった。そのような歴史があるため、現代において「4本爪の龍」を使用することは、自らが中国の服属下にあることを示す、という。 2015年に那覇市の若狭緑地(若狭海浜公園)に建造された龍柱に関しては、「4本爪」であること、海の玄関口に建っていること、福建省福州市との友好のために施工が福建省福州市の業者に発注されたこと、14世紀に中国から「久米三十六姓」と呼ばれる渡来人が移住してきたという久米村が近くにあること、若狭緑地の龍柱から沖縄県庁まで続く通りには中国式庭園の「福州園」や「久米孔子廟」があること、などから、現代中国の「皇帝」である習近平党総書記や中国人民解放軍を、海から沖縄県庁まで「お迎え」するつもりではないかと、幸福実現党やチャンネル桜、参議院議員の山田宏らが、中国への従属と結びつけ批判を展開した。 幸福実現党の佐々木勝浩によると「沖縄の龍柱は日本の税金を使ってわざわざ沖縄は中国の属領だと宣伝している」という。日本の大手マスコミの一つとされる産経新聞も、習近平総書記や中国人民解放軍などの名前は出さないながらも、「「4本爪」の龍柱を誰のために建てるのか?」「一体誰をお迎えするつもりなのか」と、2015年6月の記事で批判した。 これに対し、若狭緑地の龍柱や4代目の首里城の龍柱のデザインを担当した彫刻家の西村貞雄は、モンゴルや韓国に3本爪、4本爪、5本爪、6本爪など様々な龍柱が建っていることを根拠に、「中国皇帝のみが5本爪の龍を使用できる」と言う説に疑問を呈したうえで、沖縄の龍柱が4本爪である理由は「単に沖縄の伝統的な龍柱が4本爪だったから」にすぎないとし、沖縄の龍柱のデザインは中国の龍柱のデザインと全く違うので、「沖縄の龍柱は、沖縄のもの」と反論している。ジャーナリストの安田浩一は、「沖縄の伝統まで「中国脅威論」を煽るために利用される」としている。 現代日本の龍柱のクリエーターである彫刻家の西村貞雄は、琉球大学教授として沖縄の将来を担う後進を育てる傍ら、4代目の首里城や「ひめゆりの塔」のレリーフなど沖縄を代表する多くの彫刻を制作して来たにもかかわらず、若狭緑地の龍柱を制作した件で『中国の手先』などと直接に面罵されたこともあるという。
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