なると‐かいきょう〔‐カイケフ〕【鳴門海峡】
鳴門海峡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/16 02:37 UTC 版)
鳴門海峡(なると かいきょう、国際名称・英語名: Naruto Strait)は、日本の四国の北東端にある大毛島孫崎(徳島県鳴門市)と淡路島門崎(兵庫県南あわじ市)との間に位置する海峡[1]。瀬戸内海の播磨灘と太平洋の紀伊水道を結ぶ海峡である[1]。「大鳴門(おおなると)」ともいう。日本百景に選定されている。
概要
ランドサット7号 (Landsat 7) が撮影した鳴門海峡。 ※表示環境によっては文字がずれることがあります。 |
淡路島側の門崎(とさき)と四国側の孫崎とを結ぶ海峡最狭部の幅は約1,340m[1]。海峡付近には大毛島から約200mの位置に裸島、淡路島側から約300mの位置に岩礁の中瀬がある[1](ともに大鳴門橋の橋脚が立つ)。海峡中央部の海底はV字になっており深さは約90m、さらにこの最狭部を挟んで南側に深さ160m、北側に深さ200mの海釜(かいふ)と呼ばれる深みがある[1]。
太平洋からの潮流は紀伊水道で二つに分かれ、一方は鳴門海峡の南側、もう一方は大阪湾から明石海峡を通って播磨灘へと進むが、後者が播磨灘で満潮となる頃には既に紀伊水道は干潮となっている[1]。そのため潮位差は最大約1.5mにもなり、潮流は時速20kmと速く、海峡中央部と両側の流速差や独特の海底地形も要因となって「鳴門の渦潮」を生じる[1]。鳴門の渦潮は海峡最狭部の下流側に現れ、大きいものでは直径15 mにもなる[2][3]。この渦潮を間近で見るための観潮船が淡路島側と鳴門側から運航されている。また大鳴門橋にも遊歩道「渦の道」が設けられていて、真上から渦潮を観察できるようになっている。
鳴門海峡を展望できる「鳴門公園及び付近一帯の丘陵林地と海岸及び島嶼」が1931年(昭和6年)に国名勝に指定された[1]。また、1950年(昭和25年)には瀬戸内海国立公園に追加指定された[1]。
1985年(昭和60年)には大鳴門橋が開通した[1]。自動車専用道路である大鳴門橋の架橋から10年後の1995年(平成7年)、唯一残っていた淡路フェリーボートの阿那賀~亀浦航路が休止され、その後廃止されたため、原動機付自転車等は渡海できなくなった。
なお、鳴門海峡(大鳴門)の西側には小鳴門海峡(小鳴門・撫養の瀬戸 - 四国本島と大毛島・島田島の間の延長8 km、最狭部の幅110 mの水路状)がある。
海の難所
阿波の鳴門は利根川河口や伊良湖渡合とともに日本の海の三大難所とされた[4]。
海峡は主要航路ではあるが可航幅が約500 mと狭く、強流時などには通峡を見合わせて潮止まりを待つように、徳島海上保安部が船舶に注意を促している[5]。2002年(平成14年)から2006年(平成18年)の5年間で裁決のあった海難事故は15件で、そのうち8件は大鳴門橋直下で、うち5件は強潮流による圧流や操船不能などが原因となっている[3]。
関連作品
- 「鳴門海峡」 - 伍代夏子のシングル。1996年(平成8年)4月21日発売[6]。約40万枚を売り上げ、2010年(平成22年)11月29日には「道の駅うずしお」にこの曲の歌碑が建てられた[7][8][9]。
- 「鳴門海峡」 - 三橋美智也のシングル。1969年(昭和44年)12月発売。
論文
- 地学団体研究会地質班(西山賢一、瀬部直之、石田啓祐、中尾賢一、辻野泰之、橋本寿夫)「地形・地質から見た鳴門海峡の成立」(PDF)『阿波学会紀要』第61号、阿波学会、2017年3月、1-10頁。
脚注・出典
- ^ a b c d e f g h i j “鳴門海峡の位置と環境”. 兵庫・徳島「鳴門の渦潮」世界遺産登録推進協議会. 2021年10月19日閲覧。
- ^ “鳴門:渦潮の複雑な因果”. 大地を眺める. 北海道地図株式会社 (2010年8月15日). 2010年11月30日閲覧。
- ^ a b “挟水道の海難・海域別海難の状況” (PDF). 運輸安全委員会 (JTSB) (2008年). 2010年11月30日閲覧。
- ^ 銚子ジオパーク推進協議会. “千人塚 < みどころの紹介”. 銚子ジオパーク. 2020年7月26日閲覧。
- ^ “流況解説・鳴門海峡”. 第五管区海上保安本部 (2002年). 2010年11月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “鳴門海峡 < ディスコグラフィー”. 伍代夏子(公式ウェブサイト). 株式会社ボイスミュージック. 2021年5月26日閲覧。
- ^ 「鳴門海峡」歌碑除幕、伍代夏子が熱唱 南あわじ、神戸新聞社、2010年10月27日 11:13 [リンク切れ]
- ^ “伍代夏子さんの歌う 『鳴門海峡』 の歌碑が建立されました♪♪”. 一般社団法人 鳴門市うずしお観光協会. 2021年5月26日閲覧。
- ^ “2014年11月29日(土) 伍代夏子「鳴門海峡」歌碑除幕式・昼食会”. 黒崎あきら. 黒崎あきら鳴門事務所 (2014年11月). 2021年5月26日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 鳴門市 観光振興課. “観光スポット”. 公式ウェブサイト. NARUTO. 鳴門市. 2021年5月26日閲覧。
- 鳴門市 観光振興課. “鳴門公園の碑”. 2021年5月26日閲覧。
- 高速観潮船@うずしお汽船@ - 亀浦港
- うずしおクルーズ・淡路島発、渦潮観潮船「咸臨丸」 - 福良港
- 『鳴門海峡』 - コトバンク
座標: 北緯34度14分30.56秒 東経134度39分4.57秒 / 北緯34.2418222度 東経134.6512694度
鳴門海峡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 04:04 UTC 版)
南西端の門崎と、四国の徳島県大毛島北東部の孫崎の間にある海峡。峡間は約1.4km。激しい潮流のため海の難所である。全長1,629mの吊橋「大鳴門橋」が架けられている。架橋にともない航路は廃止された。名勝に指定されている鳴門 では、瀬戸内海と外海(太平洋側)の潮位差により起こる「鳴門の渦潮」が著名。淡路島からは観潮船「うずしおクルーズ咸臨丸・日本丸」が毎日運航、間近で渦潮を体感することができる。なお、大鳴門橋には渦潮見物のための遊歩道「渦の道」が併設されているが、入口が四国側のみ、淡路島側からは利用不可。
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