高速電車への技術導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:21 UTC 版)
路面電車において高い成功を収めたPCCカーに導入された、直角カルダン駆動方式や振動を抑制した台車などの技術は、地下鉄や通勤鉄道など路面電車よりも高速で走り車両限界が広く取られた北アメリカの鉄道においても高い注目を集め、ブルックリン・マンハッタン・トランジット(BMT)が1939年に導入したブルーバード(Bluebirds)と呼ばれる連接式電車を皮切りに、アメリカ各地にPCCカーの技術を用いた高速電車が多数導入された。ただし、高速運転や総括制御を用いた連結運転が主体となるこれらの電車にPCCカーの構造を直接投入するのは不向きであり、自動ブレーキや電気指令式ブレーキ、電動カム軸を用いた制御装置など、高速電車独自の機構が多く取り入れられた。車輪についてもPCCカーの弾性車輪ではなく高速運転に適した圧延車輪となった他、運転台での速度制御もペダルではなく主幹制御器が用いられた。また、路面電車自体の廃止により多数のPCCカーが余剰となった1960年代には、これらの部品を流用する形で新型電車が製造された事例が存在した。 以下に取り上げるのは、アメリカ合衆国においてTRCとのライセンス契約の元でPCCカーの技術が導入された、もしくはPCCカーの部品を流用して製造された主要な高速電車(地下鉄用電車、通勤電車など)である。 PCCカーの技術を用いた高速電車 ニューヨーク地下鉄 R11形(英語版)1949年に10両が試作された、ニューヨーク市地下鉄初のステンレス製車体を持つ車両。台車や機器にPCCカーの技術が用いられたが量産される事はなかった。 シカゴ・L 5000形シカゴの高架鉄道であるシカゴ・Lが1947年から1948年にかけて導入した連接式電車。 シカゴ・L 6000形(英語版)シカゴ・L向けに1950年から導入された2両固定編成の電車。一部車両はシカゴ・サーフェス・ラインのPCCカーの部品を流用して製造された。 シカゴ・L 1形(英語版)シカゴ・L向けに導入された、単行運転が可能な両運転台電車。主要機器や台車はシカゴ・サーフェス・ラインのPCCカーから流用した。 クリーブランド地下鉄 "ブルーバード"(英語版)(Blue Birds)クリーブランド地下鉄が1954年に開業した際に導入された電車。56両が2両固定編成の片運転台車両(28本)、12両が両運転台車両であった。 マサチューセッツ湾交通局 0500形電車路面電車として運用されていたボストンのマサチューセッツ湾交通局ブルーライン(英語版)が1954年に地下鉄へと高規格化された際に導入された電車。1979年まで使用された。 マサチューセッツ湾交通局 01400形電車(右)マサチューセッツ湾交通局レッドライン(英語版)用に1963年に製造された電車。アメリカ合衆国においてTRCとのライセンス契約に基づいて製造された最後の電車で、1994年まで使用された。
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