非司法書士の取り締まり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:15 UTC 版)
司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者(公共嘱託登記司法書士協会を除く)が、司法書士の業務を行ったり、司法書士または司法書士法人の名称またはこれと紛らわしい名称を用いたりした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる 。 司法書士法に定められている業務は弁護士法の一般の法律事務にも当てはまることから、司法書士法違反事実をもって弁護士法違反にも問われることもある。 司法書士法第73条は他の法律に別段の定めがある場合を例外としているが、その「他の法律」とは弁護士法、土地家屋調査士法に限られ、行政書士法は含まない。 司法書士法の解釈上正当な業務に付随する場合には司法書士法第73条違反にならない場合があるとされている。ただ司法書士法第73条違反にならない付随行為については司法書士に登記業務等が集中されている歴史的経緯から例外的かつ限定的に解釈されるとされている。 現在、付随行為として司法書士法第73条違反にならない場合として先例で認められているのは、公認会計士または会計士補が受任している業務に付随する場合に会社設立登記の登記申請書類の作成および登記申請代理を行う場合、行政書士が行政書士の法定業務を行うのに付随して登記簿謄本や印鑑証明書の取得をする場合、自筆証書遺言保管制度に基づき法務局へ提出される書類のうち遺言書情報証明書の交付請求書または遺言書保管事実証明書の交付請求書の作成の3点である。 司法書士法の解釈上正当な業務に付随する場合には司法書士法第73条違反にならない場合があるとされているが、行政書士は本来業務としてはもとより正当な業務に付随しても司法書士業務を行うことができないと最高裁判例により解釈が確定してる。 海事代理士に関しては制度制定以前の前身職能であった海事代願人が上記付随行為として船舶登記について行うことが認められていた。事後海事代理士法制定により法律上付随行為として行い得ることを追認された経緯から、司法書士法第73条の「他の法律」に海事代理士法を含まないとの解釈となっている。このため船舶登記に関しては司法書士と海事代理士の共管業務となっている。 認定業務は司法書士法上罰則規定はないが、この業務は弁護士法の法令の別段の定めにあたるため無資格者が行った場合には弁護士法違反となる。 非司法書士による書類作成業務(法務局または地方法務局に提出し提供する書類の作成、裁判所もしくは検察庁に提出する書類作成)も取締の対象になっているが、司法書士法第3条8項以外に制限を付されていないことから法令上の要請により一定の要件が満たされている書類に限らず提出・提供される書類であればすべて含まれる。また作成時期に関する時間的な制約も付されていないことから、将来法務局、地方法務局、裁判所、検察庁に提出されることが予定されて作成される場合も取締の対象となる。 書類の作成業務(法務局または地方法務局に提出し提供する書類の作成、裁判所もしくは検察庁に提出する書類作成)には申請書、申立書等のほか添付書類の作成も含まれているが、申請書等の法律文書の添付書類も法律文書と一体をなすものであるから添付書類だけを独立した書類として分離して判断はされない。
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