雷雨の種類と強度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 09:27 UTC 版)
アメリカなどでは、雷雨をその母体となる降水セル (precipitation cell) の規模をもとに3~4つに分類している。 シングルセル (Single cell) - ダウンバースト、雹、一部で激しい降雨があり、弱い竜巻が発生することもある。シングルセルといっても、通常は成長段階の異なる複数のセルが発生するが、それぞれ単発で発生するもので新旧交代がない。このセルによる雷雨を気団性雷雨という。夏に日本でよく発生する典型的な夕立である。 マルチセル (Multiple cell, Multi cell) - このセルによる雷雨をマルチセル型雷雨という。マルチセル・クラスター (Multicell cluster) - 積乱雲の集団の中に成長段階の異なる複数のセルがあり、新旧交代が繰り返される。鉄砲水、大きめの雹、弱い竜巻が発生する恐れがある。クラウドクラスターとも言う。熱帯低気圧がこの典型。 マルチセル・ライン (Multicell line) - 1つのセルの衰弱期に発生するガストフロントが新たなセルに成長するもの。アメリカでは地上天気図に示されるスコールラインとして知られている。鉄砲水、大きめの雹、弱い竜巻が発生する恐れがある。 スーパーセル (Supercell) - 1つのセルの中で気流の回転運動がある大規模なセル。強いダウンバースト、大きな雹があり、しばしば強い鉄砲水を起こし、強い竜巻が発生する恐れがある。ドップラーレーダーでこのセルを観測すると、フックエコーという特徴的な形のエコーが見られる。アメリカ中西部で頻繁に竜巻を発生させる雷雨はこれに当たる。大気の中層に乾燥した空気があると発生しやすく、アメリカでは乾燥した空気の最前線を示すドライラインが地上天気図で用いられ、激しい雷雨が発生する目安とされている。このセルによる雷雨をスーパーセル型雷雨という。 シングルセルの場合、セルの寿命は30分程度で、すぐに衰えてしまう。ただ、シングルセルの場合でも狭い地域に複数のセルが発生する場合が多く、雷雨が持続する時間はそれよりも長くなるのがふつうである。一方、マルチセルやスーパーセルは、セル内で上昇気流の部分と下降気流の部分がはっきりと分離しているため、気流の循環(=雲の発達の原動力)が維持されやすくされやすく、寿命が数時間にも及ぶ。 上記の分類における説明は絶対的なものではなく、雹や竜巻などの頻度は地形や他の気象に影響を受ける面もある。セルが一生のうちに違う分類へと姿を変える、例えばシングルセルからマルチセルへと変わるようなことも多い。また、2つ以上の分類に当てはまるセルもあり、いまだに分類には不明確な部分がある。
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雷雨の種類と強度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 16:36 UTC 版)
アメリカなどでは、雷雨をその母体となる降水セル(precipitation cell)の規模をもとに3〜4つに分類している。 シングルセル(Single cell) ダウンバースト、雹、一部で激しい降雨があり、弱い竜巻が発生することもある。シングルセルといっても、通常は成長段階の異なる複数のセルが発生するが、それぞれ単発で発生するもので新旧交代がない。このセルによる雷雨を気団性雷雨という。夏に日本で発生する夕立はこの典型。 マルチセル(Multiple cell, Multi cell) このセルによる雷雨をマルチセル型雷雨という。マルチセル・クラスター(Multicell cluster) 積乱雲の集団の中に成長段階の異なる複数のセルがあり、新旧交代が繰り返される。鉄砲水、大きめの雹、弱い竜巻が発生する恐れがある。クラウドクラスターともいう。熱帯収束帯の積乱雲群や熱帯低気圧がこの典型。特に、熱帯低気圧は第2種条件付不安定が成立してマルチセルが強固に連携したものだといえる。 マルチセル・ライン(Multicell line) 1つのセルの衰弱期に発生するガストフロントが新たなセルに成長するもの。アメリカでは地上天気図に示されるスコールラインとして知られている。鉄砲水、大きめの雹、弱い竜巻が発生する恐れがある。 スーパーセル(Supercell) 1つのセルの中で気流の回転運動がある大規模なセル。強いダウンバースト、大きな雹があり、しばしば強い鉄砲水を起こし、強い竜巻が発生する恐れがある。ドップラーレーダーでこのセルを観測すると、フックエコーという特徴的な形のエコーが見られる。アメリカ中西部で頻繁に竜巻を発生させる雷雨はこれに当たる。大気の中層に乾燥した空気があると発生しやすく、アメリカでは乾燥した空気の最前線を示すドライラインが地上天気図で用いられ、激しい雷雨が発生する目安とされている。このセルによる雷雨をスーパーセル型雷雨という。 シングルセルの場合、セルの寿命は30分程度で、すぐに衰えてしまう。ただ、シングルセルの場合でも狭い地域に複数のセルが発生する場合が多く、雷雨が持続する時間はそれよりも長くなるのがふつうである。一方、マルチセルやスーパーセルは、セル内で上昇気流の部分と下降気流の部分がはっきりと分離しているため、気流の循環(=雲の発達の原動力)が維持されやすく、寿命が数時間に及ぶ。 上記の分類における説明は絶対的なものはなく、雹や竜巻などの頻度は地形や他の気象に影響を受ける面もある。セルが一生のうちに違う分類へと姿を変える、たとえばシングルセルからマルチセルへと変わるようなことも多い。また、2つ以上の分類に当てはまるセルもあり、分類には不明確な部分がある。
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