離陸 / 墜落
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 23:59 UTC 版)
「エア・フロリダ90便墜落事故」の記事における「離陸 / 墜落」の解説
天候条件や自重等から計算された、離陸時に用いるべき推力は「EPR(エンジン圧力比):2.04」であった。スロットルレバーを押し込んだ際、いつもより EPR ゲージ指針の上昇が速く、レバー操作に対しオーバーシュートしたのが異常の前兆だった。さらに副操縦士は離陸滑走を開始した直後から異常を感じ、数度にわたり「おかしい (not right)」と呟いている。規定どおりの EPR (この場合2.04)にセットしたわりに加速が悪く、エンジン排気温度や回転数その他のパラメータがいつもとは異なっていたためだが、これに対し機長は「今日は本当に寒い日だ」や「大丈夫だ。80ノット出ている」としか応じていない。すなわち、気温が低いとエンジンの効率が上がるので、いつもと違っていてもおかしくはないというニュアンスを含んでいた。事故報告書は機長が実際にそう信じていたものと推定している。 加速が悪いため機首上げ操作速度 (Vr) に達するまでに通常よりおよそ 800 メートル余計に滑走を要した後に離陸したが、直後に機速が失速速度に近いことを知らせるスティックシェイカーが作動した。引いていた操縦桿を速度を回復するために少し押し戻すなどの失速解消のための試みがなされたが、推力を上げるためのスロットルレバー操作は最後まで行われなかった。上昇に必要な速度が得られない状態で次第に高度が下がっていき、ついにはポトマック川橋梁をかすめて渋滞中の自動車数台を巻き込んだ末、氷の張った川面に墜落した。
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