離婚が子供に与える影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:21 UTC 版)
かつて、離婚は子供に何の影響も与えないと考えられていた。アメリカの心理学者ジュディス・ウォーラースタインは、親が離婚した子供を長期に追跡調査して、子供達は大きな精神的な打撃を受けていることを見出した。子供達は、両方の親から見捨てられる不安を持ち、学業成績が悪く、成人してからの社会的地位も低く、自分の結婚も失敗に終わりやすいなどの影響があった。 また、バージニア大学のヘザーリントン教授は、実証的研究を行って次のように述べた。「両親がそろっている子供のうち、精神的に問題が無い子供は90%であり、治療を要するような精神的なトラブルを抱えている子供は10%であるのに対して、両親が離婚した子供では、それぞれ75%と25%である。」(1993年)。離婚が子供に悪影響を及ぼすことについて、多くの国で大規模な追跡調査が行われ、悪影響が実際に存在することが確認された。棚瀬一代は、親の離婚で壊れる子供たちについて報告した。 また各国で、子供から引き離された片親が片親引き離し症候群(PAS)にかかるとの報告も存在する。 ケンブリッジ大のマイケル・ラム教授は、離婚が子供の成育にマイナスの影響を及ぼす要因として、次の5つを挙げている。(1)非同居親と子供との親子関係が薄れること、(2)子供の経済状況が悪化すること、(3)母親の労働時間が増えること、(4)両親の間で争いが続くこと、(5)単独の養育にストレスがかかること。 子供の健全な発育には、父親の果たす役割も大きい(「父親の役割」を参照)。 こうした事実を踏まえて、欧米各国では、1980年代から1990年代にかけて家族法の改正が行われ、子供の利益が守られるようになっている。 2019年に発表された台湾出身の子供を対象とした調査では、両親が離婚した13-18歳の子どもは10.6%も大学進学率が低いことがわかった。これは家庭収入が低下したためではなく、精神的な理由によるものとされる。 離婚後、子供の氏は変わることなく、離婚前の氏となり、また戸籍も以前のままとなる。親と苗字が違うためにいじめなどの悪影響が懸念される。ただし、家庭裁判所で許可を得れば、旧姓に戻った親の姓を子供が名乗る事が出来る。また、戸籍は氏を変更する許可を得て氏を変更後に市区町村役場にで変更することが出来る。
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