隔年開催案
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 05:18 UTC 版)
「FIFAワールドカップ」の記事における「隔年開催案」の解説
2021年3月、FIFAのグローバル・フットボール・デベロップメント部門の責任者で元サッカー指導者のアーセン・ベンゲルが、4年おきの開催となっているFIFAワールドカップやUEFA欧州選手権(UEFA EURO)などの国際的なサッカー大会を2年ごと(隔年)に行う案を示した。具体的には、2年程度をかけて開催される大会の予選開催期間を1年間に圧縮してその年の終わりにW杯などの本大会を開催し、W杯のない年は選手がクラブでの活動に集中できるようにする、というものである。 ベンゲルのこの提案に対し、2021年5月21日に行われたFIFA総会において、サウジアラビアサッカー連盟が検討対象とすることを提案し、賛成多数で可決された。 この提案に対し、欧州サッカー連盟 (UEFA) 会長のアレクサンデル・チェフェリンは欧州クラブ協会(ECA)の総会で「W杯を2年おきに開催すると、ランダム性が増すだけでなく正当性も低くなってしまい、残念ながらW杯そのものが希薄化するだろう」と反発、タイムズ紙のインタビューでボイコットを示唆する発言を行った。また、国際プロサッカー選手会(FIFPro)のジョナス・ベーアホフマン事務局長は、タイムズ紙に「この件は適切に処理しなければサッカー界の限界点になり得る」と懸念を示した。欧州クラブ協会は声明の中で、「重大な懸念と警戒を抱いている」とした上で、「事前の協議が行われていない上、大会の機会を増やすことは選手の心身への負担を高め、大会の価値が薄れる」とFIFAの対応を批判した。一方、北中米カリブ海サッカー連盟(Concacaf)の関係者は「隔年開催で国際大会の数が減り、選手の移動負担が軽減される」としてこの提案に前向きな姿勢を示している。 2021年9月20日、FIFAは「国際日程に関して話し合う協議会」をオンラインで行うことを発表し、この提案を推進する意向を示したが、UEFAは「他のステークホルダーとともに協議会に参加する機会が与えられる前に、抜本的な改革プロジェクトが伝えられ、公然と推進されることになった今回の手法に失望している」と批判し、検討を一時停止することを求めた。UEFAなどの批判に対して発案者のベンゲルは「W杯を2年おきに開催するということだけで判断している人がいる。『みんなその(4年に一度の)サイクルで育ったから』という理由で感情論に走っていたが、それは理解できる」「W杯を2年おきに開催するというコンセプトは、提案全体に目を通し、予選が再編されて初めて意味を成す」と述べた。 そして、2021年9月30日に、オンラインによる協議会が行われ、加盟している団体に対し、今後のスケジュールを説明した。FIFAのインファンティーノ会長は「世界中でサッカーを発展させたいというFIFAの願いは、より定期的に大会を成功させることでしか実現できない」と必要性を強調した。今後は、2021年11月に報告書を明らかにして、年内に「グローバル・サミット」を行うことを明らかにした。 2021年10月16日、国際オリンピック委員会が、他のスポーツへの影響を理由にして懸念を表明した。 2021年10月18日、FIFAのインファンティノ会長は、訪問先のアルゼンチンにて記者会見を行い、「今年(2021年)12月には結論を出すつもりだ」と述べ、その上で「私も当初は隔年開催を分析していなかったので否定的だったが、後に世界にもたらす利益を認識した」と述べた。 2021年12月20日、加盟協会による会合が行われたが結論は出ず、隔年開催案については継続協議となった。
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