パウロ・フレイレ
銀行型教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/21 02:28 UTC 版)
銀行型教育は、フレイレが教育における一般的な形態を批判するために用いた用語。フレイレは既存の教師-生徒関係の特徴として「語りかける」という行為を挙げた。これはフレイレにとって重要な行為であり、相互発信的な「対話」とは異なり、教師による一歩通行の行為である。教師は生徒の日常の生活経験とは無縁の話題で、「忍耐強く耳を傾ける客体」と化してしまう生徒を満たしていく。このような教育では、教師はできるだけ多くの知識で生徒を満たせばよい教師、生徒はできるだけ多くの知識を暗記すればよい生徒、とみなされる。この状況をフレイレは銀行に例えた。つまり「生徒が金庫で教師が預金者」なのである。 銀行型教育概念にあっては、知識は、自分をもの知りと考える人々が、何も知っていないと彼らが考える人びとに授ける贈物である。他者を絶対的無知としてみなすのは抑圧イデオロギーの特徴であるが、探求の過程としての教育と知識はそれによって否定される。 このように銀行型教育では、知識は教師によって独占されるものとして扱われるわけだが、これに対して、フレイレが理想とする教育では、生徒により能動的な役割を与え、より共同的な学習形態を確立することであった。そこでは、教師が一方的な「語りかけ」である「コミュニケ(声明)」ではなく、教師と生徒の間の「コミュニケーション (交流)」が求められる。フレイレはこのような教育を「問題提起型学習」(Problem-posing education)と呼んだ。
※この「銀行型教育」の解説は、「パウロ・フレイレ」の解説の一部です。
「銀行型教育」を含む「パウロ・フレイレ」の記事については、「パウロ・フレイレ」の概要を参照ください。
- 銀行型教育のページへのリンク