銀河間空間
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銀河間空間(英: intergalactic space)とは銀河と銀河の間の空間である。宇宙の大規模構造に関する研究によれば、宇宙は泡状の構造になっている。銀河の集団である銀河団・超銀河団は銀河フィラメントと呼ばれる繊維状に並んでおり、空間全体の十分の一程度を占めている。残りの空間は超空洞またはボイドと呼ばれる巨大な空洞で占められており、この部分にはほぼ銀河は存在しない。典型的な超空洞の幅は700万~3000万パーセク(2300万光年~9800万光年)に達する[1]。
概略
希薄なプラズマが、銀河の周囲を取り巻くとともに、銀河と銀河の間に伸びるように分布している[2]。この物質は銀河フィラメントの構造に組み込まれており[3]、銀河間物質(IGM[注釈 1])と呼ばれている。その密度は宇宙の平均密度の5~200倍で[4]、大半はイオン化した水素、つまり同数の電子と陽子で構成されたプラズマである。
銀河間物質の「温度」は105 K~107 K(10万度~1000万度)で[5]、ガスがボイドから銀河間空間に「落ちて」くると、この熱エネルギーによって水素原子から電子が解放されてイオン化する。このプラズマは、地球上の基準で言えば超高温と言えるが、天文学的尺度に基づき、中高温銀河間物質(WHIM[注釈 2])と呼ばれている[6]。
コンピューターシミュレーションと観測の結果から、宇宙に存在する原子の質量のうちの半分がこのような希薄な状態で存在する可能性があることが分かった[4][7][8]。ガスがフィラメント構造のWHIMから銀河団に落ちると、 銀河団ガス (ICM[注釈 3])と呼ばれるようになる。ICMはさらに高温であり、その温度は108 K(1億度)かそれ以上に達する[9]。
関連項目
脚注
注釈
出典
- ^ Wszolek 2013, p. 67.
- ^ Jafelice, Luiz C.; Opher, Reuven (July 1992), “The origin of intergalactic magnetic fields due to extragalactic jets”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 257 (1): 135–151, Bibcode: 1992MNRAS.257..135J, doi:10.1093/mnras/257.1.135.
- ^ Wadsley, James W. et al. (August 20, 2002), “The Universe in Hot Gas”, Astronomy Picture of the Day (NASA), オリジナルのJune 9, 2009時点におけるアーカイブ。 2009年6月19日閲覧。.
- ^ a b Fang, T. et al. (2010), “Confirmation of X-Ray Absorption by Warm-Hot Intergalactic Medium in the Sculptor Wall”, The Astrophysical Journal 714 (2): 1715, arXiv:1001.3692, Bibcode: 2010ApJ...714.1715F, doi:10.1088/0004-637X/714/2/1715.
- ^ Gupta, Anjali et al. (May 2010), “Detection and Characterization of the Warm-Hot Intergalactic Medium”, Bulletin of the American Astronomical Society 41: 908, Bibcode: 2010AAS...21631808G.
- ^ “Nature ハイライト:ミッシングバリオンの発見 | Nature | Nature Portfolio”. www.natureasia.com. 2023年3月30日閲覧。
- ^ Bykov, A. M. et al. (February 2008), “Equilibration Processes in the Warm-Hot Intergalactic Medium”, Space Science Reviews 134 (1–4): 141–153, arXiv:0801.1008, Bibcode: 2008SSRv..134..141B, doi:10.1007/s11214-008-9309-4.
- ^ Wakker, B. P.; Savage, B. D. (2009), “The Relationship Between Intergalactic H I/O VI and Nearby (z<0.017) Galaxies”, The Astrophysical Journal Supplement Series 182 (1): 378, arXiv:0903.2259, Bibcode: 2009ApJS..182..378W, doi:10.1088/0067-0049/182/1/378.
- ^ Mathiesen, B. F.; Evrard, A. E. (2001), “Four Measures of the Intracluster Medium Temperature and Their Relation to a Cluster's Dynamical State”, The Astrophysical Journal 546 (1): 100, arXiv:astro-ph/0004309, Bibcode: 2001ApJ...546..100M, doi:10.1086/318249.
参考文献
- Wszolek, Bogdan (2013), “Is there Matter in Voids?”, in Arp, H. C.; Keys, C. R.; Rudnicki, K., Progress in New Cosmologies: Beyond the Big Bang, Springer Science & Business Media, ISBN 978-1489912251
外部リンク
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「宇宙戦艦ヤマト2199」の記事における「銀河間空間」の解説
カレル163 ビーメラ星系の手前に存在する中性子星。この星の宙域では、カレル163の重力勾配の影響によって、ワープの時空座標にずれが生じる。ドメルはそのずれを見越してヤマトのワープアウト地点を予測し、待ち伏せて包囲することに成功した。 ビーメラ星系 バラン星から約3万光年の距離に存在する星系。大マゼラン方面に30光年近く離れた宙域に亜空間ゲートとシステム衛星が存在する。ビーメラ4 ビーメラ星系の第4惑星。オムシスが不調になったヤマトが補給のために立ち寄った。緑一色だった旧作と異なり、地球に近い外観をしている。環境も地球に近く、人類移住に適している。 ヤマトがこの惑星に到着した際、新見薫ら他惑星への移住を企てていた「イズモ計画」派が反乱を起こす(#計画・作戦・戦争を参照)。 かつてイスカンダルが救済のためにやって来たらしいが、現在では滅び去った文明の遺跡のみが残っている状態となっている。ビーメラ人 ビーメラ4に生息していた人型節足動物。背中の羽で飛翔することも可能。現在ではミイラ化した死骸が残っている。 バラン星 銀河系と大マゼラン銀河の中間に位置する自由浮遊惑星。本作では形状が極端に扁平な回転楕円体になっている。 その正体は太古にアケーリアスが褐色矮星を改造してつくった人工天体であり、惑星中心部にゲートシステム用の巨大なエネルギープラント、惑星周囲に亜空間ゲートを二つ備えたエネルギー収束リングを有する。 バランの位置と名称は、ユリーシャによって地球へ伝えられたとされる行程表に記されている。ヤマトは銀河系を出た後、この星を「灯台」として航行していた。 亜空間ゲートによるワープネットワークのハブステーションとして機能していたが、ヤマトの波動砲によってエネルギープラントが破壊され、マゼラン側ゲートも崩壊する。その後、プラント崩壊による重力バランスの変動に耐え切れず、旧作に酷似した姿に成り果てた。バラン鎮守府 ガミラスの銀河方面軍司令部。バラン星の大気層に浮遊している。2枚の岩盤からなる特殊な構造をしており、下部プラットフォームの中心にはアケーリアス文明が残したとされる遺跡が存在する。バラン星中心部のエネルギープラントが崩壊した際に、巻き込まれて破壊された。
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