金沙江とは? わかりやすく解説

金沙江

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 13:28 UTC 版)

金沙江

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金沙江(きんさこう,拼音: Jīnshā Jiāng)とは、長江上流部の中国語による名称である。金沙江は青海省西部の崑崙(こんろん)山脈中に発源し、チベットと四川省の境を南下して雲南に入り、東転して四川省を流れ、宜賓(ぎひん)で岷江(びんこう)と合流し、そこから先が中国語では「長江」と呼ばれる。なお、この付近はディチュ河チベット語འབྲི་ཆུ ワイリー拡張方式チベット語表記: 'bri chu)と呼ばれる場合もある。ディチュ河とは、チベット高原の中央部を、西から横断し、東南方向へ流れる長江のチベット語名である。ただし、金沙江とディチュ河の範囲は、完全には一致しない。

概要

金沙江は雲南省で南向きから北向きへ180度流れを変え、この場所(玉竜ナシ族自治県石鼓鎮付近)は「長江第一湾」と呼ばれる。

金沙江の名は、川から砂金が採れたことに由来する。宋応星は《天工開物》で、〈水中から採れる金〉は麗水すなわち金沙江の数ヵ所にのぼることを指摘している。

金沙江は青海省西部の崑崙山脈の南側で端を発した後、東へ向かい、青海省とチベット(西蔵)自治区の境界を成すタンラ山脈の北麓を流れる。そこから次第に南へと方向を変え、横断山脈付近を南方へと流れ、チベット東部のカム地方を東西に二分している。東経97度、北緯27度から37度付近では、中国の行政区分で言う「西蔵自治区」と「四川省」の境界にされている。その先では、山々の間を縫うように流れの向きを頻繁に変えながら南東の方向へと進む。そうして雲貴高原の北部へ達すると、そこからは北東へと流れる。

雲南省と四川省の境では、2021年現在白鶴灘水力発電所の建設が進められており、1基当たり100万kwという世界で単一設備容量が最大の水力タービン発電機が8基設置される予定となっている[1]

四川盆地の南西端付近に形成された都市である宜賓市の付近で岷江と合流した先を、中国では長江と呼んでいる。

仮説

インドシナ半島の北東部を流れトンキン湾へと注ぐ紅河は、その元々の上流部が金沙江であったものの、地殻変動によって、長江に奪われたという説も存在する[2]

出典

  1. ^ 白鶴灘右岸発電所、1基目の100万kW回転子の設置に成功”. 人民網 (2020年9月10日). 2021年4月23日閲覧。
  2. ^ 斎藤文紀『ヒマラヤ-チベットの隆起とアジアの大規模デルタ:デルタの特徴と完新世における進展』、地質学雑誌第111巻第11号、2005年11月、pp.717-724。

座標: 北緯28度46分05秒 東経104度38分29秒 / 北緯28.76806度 東経104.64139度 / 28.76806; 104.64139


金沙江

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 14:08 UTC 版)

長江」の記事における「金沙江」の解説

金沙江は長江の上流部であり、青海省西南部の玉樹チベット族自治州巴塘河口から、四川省宜賓市岷江合流点までを指す。全長は2,308km、流域面積34万平kmで、落差は3300mに達する。チベット語ディチュ河ワイリー拡張方式チベット語表記: 'bri chu)と呼ばれる川と部分的に重なる。 青海省西部発した後、南の崑崙山脈向かい青海省チベット西蔵自治区境界をなすタンラ山脈北麓流れチベット東部カム地方東西二分している。東経97度、北緯2737付近では、中国の行政区分でいう「西蔵」と「四川」の境界となっている。 また四川省から雲南省にかけての褶曲山脈地帯横断山脈)では、南東流れる金沙江と瀾滄江メコン川上流部)、怒江サルウィン川上流部)がそれぞれ深い谷間刻みながら平行に流れ三江併流をなしている。この三江併流部分三河川間の距離は小さく、金沙江と瀾滄江が最も接近する地点では37kmしか離れていない。 雲南省シャングリラ市旧称中甸県)から玉竜ナシ族自治県の間では、金沙江は「虎跳峡」と呼ばれる大峡谷流れている。左岸には哈巴雪山右岸には玉龍雪山という5000m級の高山がそそり立ち、川の両岸には落差2000mにも及ぶ断崖絶壁迫っている。 ここまではほぼ北から南へ流れていた金沙江は、麗江市玉竜ナシ族自治県石鼓鎮において流路をほぼ反転させ、南から北へ流れるようになる。この大蛇行は長江第一湾と呼ばれ観光名所となっている。ここでの流路変更地図上であまりに鋭角不自然な流れであることから、河川争奪起こりそのまま南へ流れ紅河となっていた上流部長江へと奪われ東へ流れようになったという説が提唱された。この説に対す反論としては石鼓のような高度の高い高原においては河川争奪起きにくく、また南へと続くルート上の堆積物と金江上流域の地質がまったく違うことや、現在の流路と地質構造線一致していることなどが挙げられる。この長江第一湾は流路大きな転換点であり、ここまで南へ流れていた長江ここから基本的に東流するようになる。 金沙江は攀枝花市において雅礱江合わせる攀枝花市1965年建設され新しい都市であり、攀鋼集団中心とする鉄鋼業基盤とする。また、攀枝花市長江本流沿いの大都市としては最も上流位置し成昆線がここで金沙江を渡る。さらに東へ流れる金沙江は、山岳部抜けて四川盆地入り宜賓市岷江口で岷江合流し長江と名を変える

※この「金沙江」の解説は、「長江」の解説の一部です。
「金沙江」を含む「長江」の記事については、「長江」の概要を参照ください。

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