金属半導体接合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/30 01:14 UTC 版)
金属-半導体接合(英:Metal–semiconductor junction)とは、金属と半導体が緊密に接触する接合の一種を示す固体物理学の用語である。この接合は最も古い実用的な半導体デバイスで用いられている。金属-半導体接合は、整流作用があるものと無いものに分類される。整流作用がある金属-半導体接合はショットキー障壁を形成しており、ショットキーダイオードで用いられる。整流作用が無い金属-半導体接合はオーミックコンタクトと呼ばれる[1]。(整流作用がある半導体-半導体接合はpn接合として知られる。)
オーミックコンタクトは電荷がトランジスタと外部回路との間を容易に移動できるため、通常はオーミックコンタクトが好ましい。しかしショットキーダイオード、ショットキートランジスタ、金属-半導体電界効果トランジスタ(MESFET)などはショットキー障壁が用いられている。
ショットキー障壁高さ
金属-半導体接合がオーミックコンタクトとショットキー障壁のどちらを形成するかは、接合のショットキー障壁高さΦBに依存する。ショットキー障壁高さΦBが熱エネルギー kTよりも十分に大きい場合、半導体は金属との界面で空乏層を形成しており、ショットキー障壁としてふるまう。ショットキー障壁高さが小さい場合、半導体に空乏層は形成しておらず、オーミックコンタクトを形成する。
ショットキー障壁高さの定義は、n型半導体とp型半導体とで異なる。n型では伝導帯端とフェルミ準位の差、p型では価電子端とフェルミ準位の差である。 接合の近くでの半導体のバンドのアラインメントは一般的に半導体のドーピングレベルに依存しない。よってn型とp型のショットキー障壁高さについて、理想的な場合は次の関係が成り立つ。
ショットキー障壁についてのショットキー=モット則は、半導体の真空電子親和力(またはイオン化エネルギー)と金属の真空仕事関数の差としてショットキー障壁高さを考える。