酢酸リナリルとは? わかりやすく解説

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リナリルアセタート

分子式C12H20O2
その他の名称ベルガモール、ベルガミオール、リナリルアセタート、Bergamol、Bergamiol、Linalyl acetate、Acetic acid linalyl、Acetic acid 3,7-dimethyl-1,6-octadien-3-yl、Linalool acetate、リナロールアセタート、ベルガモットミントオイル、リナロオールアセタート、Bergemot mint oil、Acetic acid linalyl ester、Acetic acid 1,5-dimethyl-1-vinyl-4-hexenyl ester、Acetic acid 3,7-dimethyl-1,6-octadien-3-yl ester、Acetic acid 1-ethenyl-1,5-dimethyl-4-hexenyl ester、3,7-Dimethyl-1,6-octadien-3-ol acetate、1,5-Dimethyl-1-vinyl-4-hexenyl acetate、3-Acetoxy-3,7-dimethyl-1,6-octadiene、Acetic acid 1-methyl-1-(4-methyl-3-pentenyl)allyl ester
体系名:酢酸1-ビニル-1,5-ジメチル-4-ヘキセニル、酢酸1,5-ジメチル-1-エテニル-4-ヘキセニル、酢酸1-エテニル-1,5-ジメチル-4-ヘキセニル、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オールアセタート、酢酸1,5-ジメチル-1-ビニル-4-ヘキセニル、酢酸3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-イル、酢酸リナリル、3-アセトキシ-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、酢酸1-メチル-1-(4-メチル-3-ペンテニル)アリル


酢酸リナリル

名称酢酸リナリル
英名linalylacetate
別名3.7-ジメチル-1.6-オクタジエン-3-イルアセタートベルガモール
化学式C12H20O2
香り柑橘果実
状態l (無色)
融点
沸点220105~106(16mmHg)
比重0.89(d20/4)
性質エタノール有機溶媒に易溶/不溶
用途食品化粧品問わず,花,果実調合香料
有機性240
無機64
分子データ
» 「動く分子事典」の分子モデル表示の特性について、「生活環境化学の部屋」より補足説明をいただいております。

酢酸リナリル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/28 22:08 UTC 版)

酢酸リナリル
一般情報
IUPAC名 酢酸3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-イル
別名 リナリルアセテート
分子式 C12H20O2
分子量 196.29
形状 無色液体
CAS登録番号 [115-95-7]
(S)-体 [51685-40-6]
(R)-体 [16509-46-9]
SMILES CC(C)=CCCC(OC(=O)C)C=C
性質
密度 0.90 g/cm3, 液体 (20 ℃)
水への溶解度 5.4 mg/100 mL (20 ℃)
沸点 105 °C(1.5 kPa)
比旋光度 [α]D −7.7 ((R)-体、20 ℃)
屈折率 1.45 (20 ℃、ナトリウムD線)

酢酸リナリル(さくさんリナリル、linalyl acetate)とは、リナロール酢酸とが脱水縮合をして、エステル結合を形成した構造を有した有機化合物である。ベルガモットのような香りを持ち、香料として利用されている。ただし日本で、酢酸リナリルの純品などは、消防法により、第4類危険物の第3石油類として規制を受ける[1]。酢酸リナリルは、リナロールが1つだけ持つ水酸基と、酢酸のカルボキシ基とが脱水縮合した構造をしている。なお、リナロールの水酸基が結合した炭素はキラル中心であるため[注釈 1]、酢酸リナリルにも、S体とR体の1組の鏡像異性体が存在する。

天然物中での存在

多くの精油中にリナロールと共に存在している事が知られている。例えば、クラリセージでは、リナロールと酢酸リナリルの2種類の化合物で、精油中の香気成分の約8割を占める[2]。また、ベルガモットの精油中の香気成分の2割から3割程度がリナロールで、酢酸リナリルも3割程度だが、乾燥した天候が続いたり、果実の熟成が進むにつれて、酢酸リナリルが4割程度まで増加する[3]。さらに、リナロールの名前の由来の植物として知られるリナロエの場合ですら[4]、精油中の香気成分を見てみると、リナロールが3割程度なのに対して、酢酸リナリルが5割弱も含まれる[5]。一方で、ラベンダーの精油中の香気成分は複雑で、様々な成分が含まれているものの、酢酸リナリルとリナロールが、その香気成分の重要な地位を持つ事が知られている[6]

また、これらの他にプチグレインオイルと呼ばれる精油に、リナロールと酢酸リナリルが、多く含まれる製品も存在する[7]。ただし、プチグレインオイルとは、柑橘類の葉や小枝や花などを一緒に、水蒸気蒸留器にかけて取り出した精油の総称であるため、製品によって含有成分に差異が見られる[8][注釈 2]

なお、天然物中に存在する酢酸リナリルは、(R)-l-体が多く含まれる場合が多い。(S)-d-体が過剰の酢酸リナリルを含有する天然物は、あまり知られていない。

合成法

リナロールのアセチル化により得られる。工業的には無水酢酸をアセチル化剤とし、リン酸触媒とする方法が用いられる。

通常の方法でリナロールのアセチル化を行っても、リナロールが有するキラル中心の結合は変化しないため、原料がラセミ体のリナロールではなく、光学活性体のリナロールであれば、同様のアセチル化の方法により、光学活性体の酢酸リナリルを合成できる。

用途

ラベンダーやベルガモットの香りを再現するための香料として使用される。ただし、酢酸リナリルだけでは、これらの香りを再現できない。

脚注

注釈

  1. ^ リナロールにおいても、酢酸リナリルにおいても、この3番の炭素だけがキラル中心である。このため、いずれも1組の鏡像異性体が存在する。
  2. ^ プチグレインオイルの製品によっては、必ずしもリナロールと酢酸リナリルが主成分とは言えない場合も有る点に、注意が必要である。

出典

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.154 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  3. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.371 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  4. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.435 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  5. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.436 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  6. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.429 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  7. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.341 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3
  8. ^ 日本香料協会 編 『香りの百科(初版)』 p.340、p.341 朝倉書店 1989年6月25日発行 ISBN 4-254-25229-3

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