適合化研究契約
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企業化調査報告と技術調査報告を検討した結果、東京電力は1983年12月には下記の評価を下した。 日本仕様の耐震設計を施しても問題なく設計可能 建設コストの引き下げについても日本の原子炉メーカーと競争可能な水準まできている 東京電力は1984年半ばを目途に詳細設計の役割分担を決める方針であった。 1984年に入ると、東京電力は企業化調査から一段進展させ、適合化研究の契約を上記メーカー4社と結んだ。予定通りの結果が得られれば導入を正式に決定するとも報じられており、日経産業新聞はこれを「事実上の基本設計契約」と解釈した。この研究目的は下記課題の詳細研究から成っていた。研究期間は1986年3月末までで、事業費は20数億円とされ、東電が半分を出資、残額は4社で負担した。 地震多発地帯の日本で建設して問題が無いか 既に導入しているBWRと比較した採算性 また、K-PWRの研究を進めることで、すでに導入実績のあるGEと受注競争を促し、建設コストを低減する狙いもあったという。更に、当時2010年以降の実用化が目標とされていた高速増殖炉の商業化に際し、熱交換器の技術に習熟しておく必要があり、熱交換器を使用しているPWRに触れておくことも挙げられた。なお、この適合化契約を見据え、日本シーメンスは日本駐在員を増員する構えを見せていた。1984年頃には、候補地として柏崎刈羽原子力発電所、福島第一原子力発電所、東通原子力発電所などが取り沙汰された。 しかしながら東京電力は、適合化研究を実施後、1986年7月にJK-PWRの導入を見送った。理由は1985年度の電力需要が前年度比3.1%増に留まり、今後も大幅な需要の伸びは期待できないからであった。
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