連盟規約策定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 03:41 UTC 版)
1月20日にはウィルソンが国際連盟規約の第三次草案を完成させた。1月25日には国際連盟の原則が講和会議で承認された。2月3日には国際連盟委員会の第一回会合が行われ、2月8日まで連続して行われた。委員長にはウィルソンが自ら就任した。 第一回委員会では連盟規約の草案として、イギリスの弁護士セシル・ハースト(英語版)とアメリカの弁護士デビッド・ミラー(英語版)の執筆による「ハースト=ミラー草案」 が提示されたが、この草案は前日に完成してフランス語版も未完成であったため、以降の委員会で条文毎に協議されることとなった。2月14日の総会において、委員会で策定された国際連盟規約の草案が承認された。3月18日にはウィルソンとセシル元封鎖相、ハウス大佐、ミラーの4人で協議が行われた。イギリス側は草案を独自に検討して修正案を提示し、これに沿って終日検討が加えられた。これらの協議の結果、3月20日には「ウィルソン=セシル草案」が完成した。また3月20日と3月21日には中立国の意見を聴取する委員会が開かれ、スペインとスイスが修正案を提議した。3月22日の第11回委員会からは2月14日草案、「ウィルソン=セシル草案」、「中立国修正案」が検討された。1条から18条までは2月14日草案がそのまま承認され、19条については「ウィルソン=セシル草案」による、対象を拡大した案が討議された。3月27日からハーストとミラーは再度草案の練り直しを行い、30日には「新ハースト=ミラー草案」が完成した。ミラーは草案の修正が最終段階にさしかかっていたため、日本側提案の「人種差別撤廃提案」(後述)や、各国への赤十字機関設立などの新たな追加は行わないつもりであったが、ハウスの強いすすめによって19条に赤十字に関する記述を盛り込むことにした。 4月1日からは最終草起委員会が開催され、全体的な草案の組み直しが行われた。これらの意見を受けて4月3日にハーストとミラーは最終草案を策定した。4月10日の第14回国際連盟委員会と4月11日の最後の国際連盟委員会で最終草案が検討され、4月21日にはこれらの意見を受けた規約案をミラーがまとめた。22日にはこの案をウィルソンも承認し、4月28日の総会において討議された。この会では日本による人種差別撤廃提案に関する説明と、ウィルソンによる第5条の修正提案が行われた。規約案は第5条修正を行った後に承認され、採択された。
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