車の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 02:01 UTC 版)
唐廂(庇)車(からびさしのくるま) 太上天皇・摂政・関白などがハレの舞台で使う。屋根が唐破風のような形状になっていることから、この名称で呼ばれた。「唐車(からぐるま)」とも呼ぶ。最高級の牛車。大型で「桟(はしたて)」という梯子で乗り降りした。上葺、庇、腰総などは檳榔の葉で作り、「蘇芳簾」という赤い簾をかける。横の画像はこの車。物見は落入で、外は御簾形、内は綾を押して絵を画き、縁を錦とし、御簾は編糸の紫七緒で、縁錦、裏綾の紫、下簾は蘇芳の浮線綾にいろいろの糸で唐花、唐鳥を縫う。車箱は大きく高く、車の前の簾の左右にも方立の板を作り、ふつうの車は榻で、この車は桟で、乗降する。 雨眉車(あままゆのくるま) 摂政・関白が直衣姿の折に使用する。上記の唐廂(庇)車の簡略版で、眉が唐破風のような形状になっている。簾(すだれ)は青く下簾の帳も青裾濃。 檳榔毛車(びろうげのくるま) 上皇以下・四位以上の上級貴族が乗用したが、入内する女房や高僧も用いた。「毛車」とも呼ぶ。檳榔を細かく裂いて屋根を葺いた車で、見物はない。蘇芳簾で下簾は赤裾濃。 檳榔廂(庇)車(びろうひさしのくるま) 上皇・親王・摂関・大臣の乗用である。上記の檳榔毛車に見物を設置したもので、前後眉下と見物の上に廂(ひさし)が付いている。 糸毛車(いとげのくるま) 上葺(うわぶき、車箱の屋根部分)を色染めした糸で覆った車で、見物は設けていない。青糸車 皇后・中宮・東宮の乗用車。 紫糸車 女御・更衣・尚侍・典侍の乗用車。 赤糸車 「賀茂祭り」の際に、女使が使用する。 網代車(あじろぐるま) 車箱の表面に、檜や竹などの薄板を張った車の総称である。袖や立板などに漆で絵文様を描いたものが多い。袖表や棟表を白く塗り、家文を付けた車は「袖白の車」・「上白(うわじろ)の車」と呼び大臣の乗用であった。また、棟・袖・見物の上に文様を描いた車を「文(もん)の車」と呼んだ。 半蔀車(はじとみのぐるま) 檜を網代に張った、網代車の一種である。上皇・摂関・大臣・大将が使用する。見物の懸戸が外側にはね上げたような造りとなっており、開閉可能の半蔀を設けた車。右側の写真の車である。 八葉車(はちようのくるま) 網代車の一種で、大臣から公卿、地下と広く用いた車である。網代を萌黄色(黄緑)に塗り、九曜星(八葉/大きな円の周りに小さな円を八つ書いたもの)の文様を描いた車。文様の大小で区別し、「大八葉」や「小八葉」などと言った。右側の絵巻に描かれている車である。
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