赤気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 05:27 UTC 版)
「赤気」は、空に現れた赤い光を意味する表現で、オーロラを示している。建仁四年正月十九日(1204年2月21日)条および同月廿一日(2月23日)条には、京都で定家が「赤気」を見たことを記録し、恐れを抱いたことを残している。 とくに十九日の記述は、以下のように「赤光」と「白光」が入り混じった「長引く赤いオーロラ」の様相が詳しく描写されている。 【原文】秉燭以後、北并艮方有赤気、其根ハ如月出方、色白明、其筋遙引、如焼亡遠光、白色四五所、赤筋三四筋、非雲、非雲間星宿歟、光聊不陰之中、如此白光、赤光相交、奇而尚可奇、可恐々々 【訳文】燭台に燈をともす頃(日が暮れてから)、北及び東北の方向に赤気が出た。その赤気の根元のほうは月が出たような形で、色は白く明るかった。その筋は遠くに続き、遠くの火事の光のようだった。白気(白いところ)が4、5箇所あり、赤い筋が3、4筋出た。それは雲ではなく、雲間の星座でもないようだ。光が少しも翳ることのないままに、このような白光と赤光とが入り交じっているのは、不思議な上にも不思議なことだ。恐るべきことである。 「赤気」という表現は『日本書紀』など、より古い記録にもみられるが、「長引く赤いオーロラ」の記録としては既知の限り日本最古のものとされる。国立極地研究所・国文学研究資料館・京都大学などの研究グループは、西暦1200年ごろには地軸の傾きの関係から日本でオーロラが観測しやすい条件にあり、この時期の活発な太陽活動(太陽変動における「中世極大期」にあたる)によって連発巨大磁気嵐が発生した結果、京都(北緯35度)のような低緯度でもはっきりしたオーロラが観測できたことを説明している。
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