買収実施
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 16:11 UTC 版)
1928年10月、九州水力電気では麻生太吉が社長に就任した。翌1929年(昭和4年)春、九州電気軌道との間で1927年締結の協定を厳守するよう取り決め、両社の間では株式の持ち合い強化など提携強化の動きが強まるが、社長の麻生は提携から一歩進んだ九州電気軌道の経営権掌握に動き出す。麻生の内意を受けて取締役の大田黒重五郎は九州電気軌道専務の松本枩蔵に接触し、同社株式の引き受けを打診した。 九州水力電気が経営権掌握に向けて動き出した当時、九州電気軌道の大株主は、1920年6月より専務取締役を務める松本であった。松本は社長松方幸次郎の妹婿で、松方に代わって1930年(昭和5年)6月に九州電気軌道の2代目社長に就いた。社長交代に前後して松方個人や彼の会社が持っていた大量の九州電気軌道の株式が松本に移ったため、松本は自社株35万株を抱えていたという。大田黒による交渉の結果、同年8月株式買収に成功。この際、松本が抱える九州電気軌道株式35万株すべてを子会社九州保全名義で引き受け、対価として九州保全から九州水力電気6分利付き社債2500万円を交付した。 株式の移転後、九州電気軌道では1930年10月の株主総会で松本枩蔵が社長を辞任し、代わって大株主となった九州水力電気から大田黒重五郎が第3代社長となり、さらに専務の村上巧児が新専務として送り込まれた。かくして九州水力電気は九州電気軌道の経営権を掌握した。
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