貧弱な構造が圧倒的なスラスト荷重を引き起こした
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:14 UTC 版)
「アシュタビューラ川鉄道災害」の記事における「貧弱な構造が圧倒的なスラスト荷重を引き起こした」の解説
橋の斜材の貧弱な構造のために、アングルブロックのラグにかかる応力が悪化した。ハウトラスは、橋が荷重を運ぶ方法を改善するために、ブレースとカウンターブレースのプレストレシングに依存している。垂直ポストのナットを締める(プレストレシング)ことは、垂直材を張力状態におく(それらを伸ばす)。もし斜材がすでにアングルブロックにぴったりとはまっているならば、プレストレシングは斜材を圧縮する。これにより、より多くの負荷を運ぶことができる。しかしながら、アシュタビューラ橋の斜材は、アングルブロックにゆるく取り付けられているのみであった。プレストレシングは、斜材をアングルブロックに比較的密接に適合させたが、しかし斜材を圧縮しなかった。問題は悪化させられた、なぜならシムが斜めのベアリングとアングルブロックの間の空きを埋めるために使用されたから。橋の歴史は、これらのシムのいくつかが時間の経過とともに緩み、落ちていたことを示している。シムが失われると、しっかりと接続された斜材が緩い斜材より荷重を吸収するために、不均一な荷重が発生した。オーケソンは、シム自体がIビームとラグの間に不均等な圧力点を作成し、ラグにせん断力だけでなく曲げ力をも加えたかもしれない、と指摘している。斜材が、運ぶつもりとされた荷重を運ばないので、弦材に余分な応力がかかった。アングルブロックの不均等な負荷は、金属疲労を悪化させた。 橋の上弦材の構造も貧弱であった。この弦材は、並列に走る5本のIビームで構成されていた。5つの部材すべてがパネルジョイントで終わると、実際には橋が弱くなったし、そのために、ハウトラスは、3つが1つのパネル接続で終了し、他の2つが次のパネル接続で終了するように構築された。斜材とアングルブロック間の接続と同様に、Iビームとアングルブロックの頂部のラグの間に空きがないことが重要であった、なぜならこれらのラグが軸力を次の部材に伝達したから。部材とラグの間に空きがあると、この移動の効果が低下し、ラグにせん断応力が発生するであろう。むくりの問題により、弦材の部材が短くなり、ラグが削られ、ラグと弦材部材の間に空きができた。。建設作業員らは、金属シムを使用して、ラグと弦材の間の空きをぴったりと合うまで埋めた。ヨークやボルトのようなアクティブな接続ではなく、摩擦だけがそれらシムを所定の位置に維持した。災害前の数年間に、機関車の機関士らは、列車がアシュタビューラ橋を渡るとき「パチンという音」("snapping sounds")が聞こえた、と報告した。これは、一部のシムが緩んで脱落し、弦材とアングルブロックの垂直ラグの間にスペースが再導入されていたことを示している。これは、弦材の部材がラグに突然押し付け、さらに多くの金属疲労が発生することをゆるした。建設記録には、いくつかの弦材部材がずれているという兆候もある。それらのベアリングが平らであったとしても、それらはラグに完全に合っていなかったであろう。これもまた、不均一な荷重を生み出し、金属疲労を悪化させたであろう。 ガスパリーニとフィールズは、もしアクティブな連続接続によって弦材と斜材が強化されていたならば、橋はラグの喪失を生き延びたかもしれない、と結論付けている。アクティブな連続接続は橋で使用されなかった――それら弦材の部材は、1つおきのパネルでのみアングルブロックに接続されていたし、それぞれの弦材を構成する5つのビームは、それらの間に連続的な相互接続がなかったし、対角線を構成する平行なIビームはどれも連続的に相互接続されていなかった。オーケソンは、薄い部材が厚い部材が行くべき場所に配置され、その逆も同様であったために、十中八九構築エラーにより、斜材の効果がさらに低下したであろう、と指摘している。トラスシステムが堅牢で余剰であるためには、ハウトラスのブレースとカウンターブレースは同じサイズである必要がある。たとえば、ブレースをカウンターブレースに比べて強くすることは、斜材の力の相対的な分布を変化させることによって実際に堅牢性と冗長性を低下させる。これらのエラーは、余分な負荷に耐える橋の能力をかなり低下させた。むくり修理後のストーンの橋の強化も、橋の能力を損なった。ストーンは、エンドブレースに2つのIビームを追加することによって、実際にエンドパネルのブレースが耐え得る最大応力を減らした。
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