議事規則本著者ベンサムとハットセルとの比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 05:19 UTC 版)
「アースキン・メイ (初代ファーンバラ男爵)」の記事における「議事規則本著者ベンサムとハットセルとの比較」の解説
「最大多数の最大幸福」で知られる功利主義の哲学者・経済学者・法学者ジェレミ・ベンサム(1748年 - 1832年)も議事規則について記しており(『Essay on Political Tactics』、1798年 - 1816年)、ベンサムと67歳年下のメイを比較したカリ・パロネン(Kari Palonen)の研究(2012年)が存在する。 パロネンによると、ベンサムとメイは双方ともに議会運営の公平性を説いている点では共通する。また、ベンサムも議題提出のタイミングや審議の長さといった時間に着目している。しかし、ベンサムが議会の「部外者」であるため実務経験を持たず、議会で生じる可能性のある問題や議事規則で定めるべき点を列挙して、イギリスの議会のみならず立法議会全般に適用できるようにしたのに対し、メイは議会に実際に関わり、イギリスの議会史において繰り返して議論された議事規則の問題を事例を引用しつつ解説した違いがある。 また、『アースキン・メイ』の初版序文でもメイ自ら言及している通り、メイ以前のイギリス議事規則本の権威としてはジョン・ハットセル(英語版)による著作(1781年初版、1818年第4版)が存在する。『アースキン・メイ』では1818年以降の庶民院における事例を取り上げたほか、ハットセルの著作では取り扱われなかった貴族院における事例も採用したという。また、ハットセルの著作が先例に基づくアプローチで、あくまでも先例集(collection of precedents)という形をとっているのに対し、メイは年代順ではなくトピック毎に原則、根拠、先例という順で並べ、議会規則を読みやすくした。さらに、独立した問題への回答ではなく、議事規則の根底にある原則とロジックを明示することで、読者に議事規則について再考し、それを合理化できる機会を与えることになる。
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