談話内容への韓国の事前関与
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「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」の記事における「談話内容への韓国の事前関与」の解説
2014年になって産経新聞は、談話内容は原案段階より韓国側に提示され、韓国側の指摘に沿って強制性の認定をはじめ内容、字句、表現などの細部に至るまで韓国の意向を反映させたものであると報じた。なお、談話発表当時、日本政府は韓国側へは発表直前に趣旨を通知したとのみ説明しており、河野洋平官房長官(当時)も「調査した結果を淡々とまとめた」、「談話の発表は、事前に韓国外務省に通告したかもしれない。その際、趣旨も伝えたかもしれない。しかし、この問題は韓国とすり合わせるような性格のものではありません」と語っていた。また、こうした日韓の文言のすり合わせについては両政府によって一般には非公開とされていた。こうして日韓のすり合わせが終わり、河野談話がほぼ固まった1993年8月2日、日本政府は韓国の閣僚にも案文を伝えた。韓国閣僚はこれに一定の評価をくだしつつも「韓国民に、一部の女性は自発的に慰安婦になったという印象を与えるわけにはいかない」と強調したという。 韓国側との案分のすり合わせの際には、慰安所の設置および慰安婦募集への日本軍の関与、慰安婦募集に際しての「強制性」が論点となった。前者について韓国側は、軍による「指示」または「指図」があったとの表現を要求したが、日本側は、慰安婦の募集は軍の意向を受けた業者がおこなったものとして、「軍」を募集の主体とすることは受け入れられないとし、業者に対する軍の「指示」は確認できないとして、軍の「要望」を受けた業者との表現を提案した。最終的には韓国側主張に配慮し、慰安所の設置については「軍当局の『要請』により設営された」、慰安婦の募集者については「軍の『要請』を受けた業者」との表現を用いることで決着した。後者については、日本側が「(業者の)甘言、強圧による等本人の意思に反して集められた事例が数多くあり」との表現を提示し、韓国側は、「事例が数多くあり」の部分の削除を要求した。これに対し日本側はすべてが意思に反していた事例であると認定することは困難であるとして拒否した。最終的には、当時の朝鮮半島が日本の統治下にあったことを踏まえ、慰安婦の「募集」「移送、管理等」の段階を通じてみた場合、いかなる経緯であったにせよ、全体として個人の意思に反して行われたことが多かったとの趣旨で「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」という文言で調整された。この報告書はまた、日本政府の調査によっても「強制連行」は確認できなかったと指摘した。 河野談話を巡る日韓の文言調整日本側原案韓国側の要望談話慰安所の設置に関する軍の関与 軍当局の「意向」 軍当局の「指示」 軍当局の「要請」 慰安婦募集に際しての「強制性」「本人の意思に反して集められた事例が数多くあり」 「事例が数多くあり」の削除 拒否 元慰安婦へのおわびと反省 おわび 「反省の気持ち」の追加 「おわびと反省の気持ち」
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