調停委員会の組織と権限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/19 15:34 UTC 版)
裁判所は、特定調停を行う調停委員会を組織する民事調停委員として、事件の性質に応じて必要な法律、税務、金融、企業の財務、資産の評価等に関する専門的な知識経験を有する者を指定するものとされている(特定調停法8条)。地方裁判所ごとに管内の各種団体から有識者の推薦を受けて民事調停委員が選任されており、事件ごとに調停委員名簿の中から適宜調停委員会を組織する民事調停委員を指定しているようである。 特定調停においては、当事者は、調停委員会に対し、債権又は債務の発生原因及び内容、弁済等による債権又は債務の内容の変更及び担保関係の変更等に関する事実を明らかにしなければならない(同法10条)。調停委員会は、特定調停のために特に必要があると認めるときは、当事者又は参加人に対し、事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができる(同法12条)。当事者又は参加人が正当な理由なくこの要求に応じないときは、裁判所は、10万円以下の過料に処する。また、調停委員会は、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる(同法13条)。 後述のように、特定調停においては特定債務者の返済総額を一定の基準に従って圧縮するのが通例であるが、その圧縮計算のために、特定債務者と債権者との間の取引経過を明らかにする必要がある。必要な資料はすべて特定債務者に交付されているはずであるが(貸金業法17条、18条)、実際にはそのほとんどを紛失している特定債務者が多い。このため、調停委員会は、上記の各規定を根拠に、貸金業者に取引経過の開示を要請し、必要な資料の収集に努めている(金融庁事務ガイドライン3-2-7(1)参照)。
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