調停手続の終了 (日本)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:00 UTC 版)
「家事調停」の記事における「調停手続の終了 (日本)」の解説
合意に相当する審判の対象となる事件を除き、当事者間に合意が成立し、これを調書(調停調書)に記載したときは、調停が成立する(家事事件手続法268条1項)。実務上は、家事調停委員が当事者の意向を調整した後、裁判官に状況を報告し、裁判官が当事者間に合意を成立させるのを相当と認めたときに、調停委員会が揃って当事者全員の意向を改めて確認し(当事者も全員同席で確認することが多い。)、確認が完了した時に正式に合意が成立し、同時に調停も成立したものと取り扱う、という手順を踏むのが通例である。戸籍実務も、実際の調書作成日ではなく、合意の成立日に身分変動が生じたものと取り扱っている。調停委員会が調停を成立させたのに、裁判所書記官が調書への記載を拒否する事態は想定されていない。 調停委員会は、次の場合には調停手続を終了させることができる(調停をしない措置)。 事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき(家事事件手続法271条) 当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるとき(同条) 調停委員会は、次の場合にも調停手続を終了させることができる(調停不成立)。 当事者間に合意が成立する見込みがないとき(同法272条1項) 当事者間に成立した合意が相当でないと認めるとき(同項) もっとも、調停不成立の場合には、調停委員会を組織する裁判官は調停に代わる審判をすることができ、一定期間内にどの当事者からも異議申立てがなければ、調停に代わる審判どおりの調停が成立したものとみなされる(同法284条)。調停に代わる審判は、2013年(平成25年)の導入から2017年(平成29年)まで毎年件数が増加(年間812件が年間5,520件に増加)しており、家庭裁判所がこの制度を積極的に運用していることが分かる。 別二調停が調停不成立で終了したとき、又は調停に代わる審判に対して異議が申し立てられたときは、当該調停の目的であった事項についての家事審判の申立てがあったものとみなされる(同法272条4項、286条7項。実務上は、「審判移行」と呼ぶ。)。 これに対して、一般調停が調停不成立で終了しても、当該調停の目的であった事項について裁判の申立てがあったとはみなされない。その事項について裁判の申立てがあっても、先行の一般調停とは連続しない手続と解釈されているため、当事者は、当該調停で提出した資料があっても、当該裁判の手続で改めて資料を提出する必要がある。
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