認識と割合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 15:12 UTC 版)
自分が性的少数者であるかどうかを認識するのは、どの年齢でも起きうることであり、認識に時間がかかることもあるし、人生の中で変化することもある。性的経験(性行為など)がなくても自分の性的指向を認識することはできる。偏見がなく信頼ができる他者や専門家と話すことは、自分が性的少数者かどうかを理解する手助けとなる。自分の性自認や性的指向を探している状態の人々は「クエスチョニング」と呼ばれたりもする。 2020年のギャラップによるアメリカの調査によると、成人の5.6%が自らをレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのいずれかと認識しているという結果がある。また、その割合は1997年から2012年の間に生まれたZ世代で特に高く、16%(およそ6人に1人)となっている。この調査でセクシュアル・マイノリティと答えた人のうち、54.6%がバイセクシュアルと回答した。2019年のイギリスの調査では、16歳以上のイギリス人の2.7%がゲイ、レズビアン、またはバイセクシュアルであると回答し、この割合は増加傾向にある。 2020年の電通による日本の調査によれば、セクシュアル・マイノリティに該当すると答えたのは全体の約8.9%だった。その内容は、ゲイが1.94%、レズビアンが1.33%、バイセクシュアルもしくはパンセクシュアルが2.94%、アセクシュアルもしくはアロマンティックが0.81%、性的指向のクエスチョニングが1.63%、トランスジェンダーが0.64%、Xジェンダーが1.20%、性自認のクエスチョニングは0.62%であった。 自らがセクシュアル・マイノリティであると他人に打ち明けることは「カミングアウト」といい、これは「coming out of the closet」を短縮したものである。自分が性的少数者であると公にしていない人は「クローゼット」という。毎年多くのセレブ(芸能人・政治家など)が性的少数者であることをカミングアウトしている。 カミングアウトした性的少数者たちは連帯を示し、社会に平等を訴えるために運動を各地で行っている。有名なのがプライド・パレードであり、世界各地で実施されている。レインボー・フラッグ(虹をモチーフとした旗)は、性的少数者ないしLGBTの象徴となっており、この旗は1978年にゲイ・コミュニティの象徴となる旗のデザインを依頼されたギルバート・ベイカーが考案した。また、それぞれの性自認・性的指向・恋愛的指向ごとに独自のフラッグが考案されており、当事者のコミュニティが自分たちのアイデンティティを示すのに用いている。 こうした人権運動において活動家として著名な人物や組織もいる。マーシャ・P・ジョンソンはトランスジェンダー活動家として尽力した有名人のひとりであり、ビリー・ジーン・キングは差別が蔓延するスポーツ界で同性愛者であることを告白したアメリカ初のスポーツ選手となり、バイヤード・ラスティン(英語版)はキング牧師の右腕でありながらゲイゆえに公民権運動家からも批判されるも自分の性的指向を隠さずに貫いた。 性的少数者を積極的に支援する行動をとる人や、ただ単に共感する人のことを「アライ(Ally)」と呼ぶ。「ally」という単語は「味方」というニュアンスで一般的に使用されることもあるため、LGBTの文脈であることや本人が性的少数者でないことを強調する場合には「ストレート・アライ」と言うこともある。LGBTの当事者であっても全てのセクシュアリティについて完全に理解しているという人は多くないため、LGBT同士でも自身がアライであることを表明することがある。
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