試航船「桑栄丸」の誕生
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「桑栄丸」は戦時標準船建造計画に基づく2TM型油槽船として日東商船株式会社を船主とし、1944年(昭和19年)10月11日に浦賀船渠で起工され、同年12月10日に進水、1945年(昭和20年)1月10日に竣工した。本船が竣工後、どのような任務に従事したか明らかでないが、終戦時は因島に在泊していた。第二次大戦直後の日本の主要港湾、航路には無数の機雷が敷設されており、米海軍から掃海作業を実施するための試航船隊(掃海海面の確認航海を実施する船舶)を編成するように指示があった。「東亜丸」、「栄昌丸」、「若草丸」および「桑栄丸」の4隻が選定された。試航船は危険な任務に従事するため、モルモット船(Guinea Pig Ship)と呼称された。これらの船舶は試航船として必要な改装が実施され、触雷時に乗員を保護するための緩衝材の取り付け、機関の遠隔操作化、浮力材としての木材の積載、舷外電路の装備等が行われ、桑栄丸の工事は1946年(昭和21年)1月末に完了した。また、バラストとして海水3000tが搭載された。桑栄丸は第二復員省呉地方復員局所属となり、広島湾で米海軍指導の下に試航訓練を実施し、昭和21年2月中旬から本格的試航を開始した。昭和21年9月5日、若草丸が機雷を処分した際、船体及び機関に相当の被害を受けた。そのため各試航船は浮力タンクの増設や小型排水ポンプの搭載など安全対策工事を実施した。その後、掃海業務の進捗により掃海部隊は逐次規模を縮小していった。試航船も東亜丸と若草丸が試航船任務を解除され船舶運営会に返却された。
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