証拠の不一致と無実の証拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/29 09:01 UTC 版)
「綾瀬母子殺人事件」の記事における「証拠の不一致と無実の証拠」の解説
警察官が被疑者の少年を誘導し、自白を強要して供述させた供述調書では、母親は電話機のコードで絞殺し、子は幅が約3cmの表面が粗い素材で粗い織り目のベルトで絞殺したと供述している。司法鑑定医師の検死報告書によると、被害者の殺害方法は2人とも絞殺である。母子の遺体から検出された索条痕は表面が粗い素材で粗い織り目のベルト条の索条痕であり、被疑者の供述調書に記載されている電話のコードの索条痕と一致せず、遺体の頚部には皮膚の剥離が検出されたが、供述調書で母親の殺害に使用したと主張する電話機のコードからは、遺体から剥離した皮膚は検出されていない。供述調書で子の遺体から検出された索条痕と殺害に使用したと主張するベルトの索条痕は一致せず、ベルトからは死体遺体から剥離した皮膚は検出されていない。被疑者の供述調書で、母子を殺害したと記載されている部屋からは、被害者が殺害されたときに生じる尿の失禁の痕跡は検出されていない。 被疑者の供述調書で、警察がAの自宅を家宅捜索した時に押収したハンドバッグとブローチは、Aが犯行時に被害者宅からハンドバッグとハンドバッグの中に入っていたブローチを盗んだものであると記載されているが、ブローチは事件の5か月後に塗装店の旅行時に静岡県の伊豆の旅館で購入したものであり、ハンドバッグが被害者の所有物だったとの証明は無い。 被疑者の供述調書で、Cは被害者の自宅の玄関で見張りをしていたと記載されているが、Cが働いていた塗装店の勤務記録では、Cは事件当日出勤していたことが記録されていた。Cが働いていた塗装店の従業員は少年審判で事件当日はCとともに勤務していたと供述した。警察は事件当日はCとともに勤務していたと少年審判で供述した塗装店の従業員に対して、Cの出勤記録は事実ではないと供述するように強要し、Cの出勤記録は事実ではないと供述しなければ、偽証罪で逮捕すると脅迫した。 被疑者の供述調書で、AとBが犯行時に使用したと記載されている手袋、携帯していたと記載されているナイフ、殺害の方法と絞殺に使用したもの、AとBのどちらが母子のどちらを殺害したのか、被害者宅から盗んだ物品、事件当日にCが事件現場にいたのか塗装店の仕事中だったかなど、犯行に関する被疑者の供述は、短期間で何度も変遷し、最初の調書と最後の調書では供述が著しく変化していた。これは警察官が被疑者による犯行とするために整合性を合わせるためであった。
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