触媒機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 23:35 UTC 版)
EZH2はリジンメチルトランスフェラーゼ、SETドメインファミリーのメンバーであり、基質タンパク質のリジン側鎖にメチル基を付加する。SETメチルトランスフェラーゼは補因子S-アデノシルメチオニン(SAM)に依存しており、SAMはメチル基の供与体として作用する。SETドメインタンパク質は、基質とSAMが酵素の活性部位にそれぞれ反対側から結合する点で他のSAM依存的メチルトランスフェラーゼとは異なる。この基質と補因子の配向によって、基質との結合を壊すことなくSAMが解離することが可能となり、基質を解離することなく複数回のリジンメチル化を行うことが可能となる。 EZH2に基質やSAMが結合した結晶構造は決定されていないが、ヒトSET7/9(英語版)メチルトランスフェラーゼとのSTAMPによるアラインメントからは、EZH2の推定活性部位には保存されたチロシン残基がほぼ同一な位置に存在していることが示されている。 EZH2の活性部位のY726は以前は基質のリジンを脱プロトン化する一般塩基として作用することが示唆されていたが、速度論的同位体効果からは活性部位の残基はメチル基転移反応の化学に直接的には関与していないことが示されている。代わりにこれらの実験からは、活性部位残基は基質のリジン残基のpKaを低下させ、同時に水分子が活性部位内のリジン側鎖にアクセスするチャネルを提供するという機構が支持される。その後、バルク溶媒の水分子は容易にリジン側鎖を脱プロトン化して活性化し、SN2様反応によるSAM補因子への求核攻撃によって、SAMからリジン側鎖へのメチル基の転移を引き起こす。 EZH2は主にH3K27のモノメチル化とジメチル化を触媒するが、臨床的関連のあるY641F変異によって高いH3K27トリメチル化活性がもたらされる。Y641からのヒドロキシル基の除去によって立体障害がなくなり、基質のリジンへの3つ目のメチル基の収容が可能となることが提唱されている。
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触媒機構
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「システインプロテアーゼ」の記事における「触媒機構」の解説
活性部位にあるシステインのチオールが、隣接する塩基性アミノ酸(通常はヒスチジン)の側鎖によって脱プロトン化される(図左上) 陰イオンになったチオール基が、基質のカルボニル炭素を求核攻撃する(図右上)。この時、カルボニル炭素は平面状の sp2混成状態から、正四面体状の sp3混成になる 基質ペプチドのC末端側がアミンとして脱離し、炭素はsp2混成に戻る(図右中)。ヒスチジンのプロトンは、脱離するアミノ基に持っていかれる 基質のN末端側は酵素にチオエステル中間体として結合した状態になる(図右下) チオエステルを水分子が求核攻撃し(図左下) 加水分解が起こると(図左中) カルボン酸が遊離し、酵素は元の状態に戻る(図左上)
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