反応の化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/13 06:33 UTC 版)
他のいくつかのリボザイムやタンパク質性リボヌクレアーゼと同様、ヘアピンリボザイムの切断反応は末端が2',3'-環状リン酸と5'-ヒドロキシル基となったRNA断片を作り出す。ライゲーション反応は単に切断の逆反応であるようであり、末端が2',3'-環状リン酸と5'-ヒドロキシル基のRNA断片が共有結合によって連結されて通常の3'-5'ホスホジエステル結合が形成される。 複数のリボザイムでの反応の研究により、一部のタンパク質性酵素やリボザイムとは異なり、触媒機構はRNA分子自身の作用によるものであり、金属イオンによって媒介されるものではないことが解明されている。切断活性はMg2+が[Co(NH3)6]3+で置換された場合でも観察される。溶液中ではCo3+はNH3と非常に強固に結合しているためNH3は解離することがなく、そのためプロトン化されることはない。このことは、金属によって触媒されるプロトン転移やRNAへの直接的な配位は存在せず、フォールディングのみに金属が必要であることを示唆している。さらに、リボザイム-阻害剤の複合体や遷移状態を模倣した状態の結晶構造からは、立体構造上A-1とG+1は離され、A-1の2'-OHは切断されるリン酸結合に対して一直線に求核攻撃を行えるよう配置されていることが示されている。さらに、G8、A38、A9は、A-1の2'-OHの脱プロトン化、リン酸の五配位型酸素の負電荷形成の安定化、G+1の5'-O離脱基のプロトン化によって触媒に関与していることが示唆されている。
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