観察を目的とする場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 14:23 UTC 版)
動物を観察しやすくすることを目的として餌付けが行われることもある。むしろ餌付けという言葉が似つかわしいのはこちらかもしれない。餌でおびき寄せてその姿を見る、あるいはそれによって継続観察をする。科学的な研究のための場合もあれば、見物のための場合もある。特に観光のための場合もあり、これは別に後述する。以下のような例が有名である。 鳥に餌をやる例 庭に給餌台を設けて果物などを置き、庭に小鳥を呼び寄せることはよく行われる。子供用の鳥類図鑑などでも砂場や水場とともに餌台を置く事が解説されており、鳥を観察するためのごくありふれた方法と見なされていることが分かる。近年ではデジタルカメラブームの中で、それによる鳥類撮影のために餌を与えておびき寄せる形の餌付けを行っている例もある。 ニホンザルの場合 今西錦司の一派はニホンザルに餌を与え、餌場にある程度の時間滞在させ、また人間の接近を許させることによって猿の行動を詳しく観察し、個体識別の上で継続調査を行うことを可能とした。このような調査として有名なのは幸島と高崎山である。この研究方法によって画期的な成果を上げ、後にこの方法を用いて世界の猿の研究に手を広げた。 幸島では1950年に川村俊蔵と伊谷純一郎がニホンザル研究を始め、当初はサルの群れを追って山中を歩いたが、ほとんど成果が上がらず、群れの数すら分からなかった。そこで1952年に餌付けを開始、最初は島内のあちこちに餌を置き、それがなくなっているのを確認しながら、次第に餌の場所を減らし、最後は開けた砂浜の一つの餌場に群れを呼び出すことに成功した。餌付け開始から四カ月かかったと言う。なお、この時の餌はサツマイモであったが、実はこの群れは以前にサツマイモを食べた経験がある。見慣れない餌の場合には餌付けにはもっと時間がかかることもある。幸島ではミカンを食べるようになるのに一カ年がかかった。 その他の例 様々な動物の研究で餌を置いて誘引することはよく行われる。深海など生物の密度が低いところでも、餌で誘引することがある。ただしこれらの多くは一時的なものである。
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