親鳥の世話と巣立ち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:36 UTC 版)
孵化の時点で雛の成長の度合いは、その種によって、晩成から早成までの範囲がある。晩成性 (Altricial) の雛はいわゆる「留巣性」であり、小さく生まれてくる傾向があり、目が開いておらず、動くことができず、羽毛を持たない。孵化した時点で動くことができ、羽毛が生えそろっている早成性の雛を「離巣性」と呼ぶ。晩成性の雛は、体温調節のための助けが必要であり、早成性の雛よりも長い期間にわたって、親鳥からの給餌を受けなくてはならない。この両極のいずれでもないような雛を、半早成性 (Semi-precocial) もしくは半晩成性 (Semi-altricial) と呼ぶ。 親鳥による雛の世話の期間と性質は、その分類目や種の間で大きく異なる。ある極端な例として、ツカツクリ類の親鳥の世話は、孵化の時点で終了する。孵化したばかりの雛は、親鳥の助けなしに巣である塚(マウンド)のなかから自身を掘り起し、また直ちに自活することができる。それとは反対に、多くの海鳥は、親鳥の世話する期間が長期にわたり、最も長いものはオオグンカンドリで、その雛は巣立つまでに6か月かかり、さらに14か月にわたって親鳥から給餌を受ける ある種においては、両方の親鳥が雛の世話と巣立ちに関わるが、そのほか、一方の親鳥だけがその世話を務めるものもある。また種によっては、雛の養育を、同種のほかの仲間(ヘルパー、helper、通常は、前回の繁殖のときの子といった繁殖つがいの近親)が手助けする場合もある。このような代理育雛は、とりわけカラス類やカササギフエガラス、オーストラリアムシクイ類などのカラス小目の種で一般的であるが、ミドリイワサザイやアカトビのように、異なる種の鳥においても観察されている。ほとんどの動物群において、雄が子の世話をすることは稀である。しかしながら、鳥類においてはきわめて一般的であり、ほかの脊椎動物群に比べて非常に多い。縄張りや営巣地の防御、抱卵、雛への給餌などは、多くの場合分担して行われるが、ときに一方が、特定の責務すべてないしそのほとんどを受け持つような分業が生ずることもある。 雛が巣立つタイミングは、実にさまざまである。ウミスズメのようなウミスズメ属(英語版)の雛は、陸性の捕食者から逃れるために、孵化したその夜にも(孵化後1-3日)巣を離れ、親鳥について海に出る。ほかにも、カモ類のように早いうちにその雛を巣から遠くに移動させる種がある。ほとんどの種において、雛は飛ぶことができる直前、あるいはその直後に巣を離れる。巣立ったあとの親鳥による世話の度合はさまざまである。アホウドリ類の雛は自分で巣を離れ、それ以上の助けは受けないが、一方、ほかの種においては巣立ち後も、ある程度補助的な給餌を続ける。雛はまた、最初の渡りの際にその親鳥についていくこともある。
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