装束、仮面、化粧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 04:28 UTC 版)
楽人の正式な装束は衣冠、または狩衣が原則であるが、明治以降に楽部が直垂を制定して以降は神社仏閣や民間の伝承団体でも直垂を着用する場合が多い。直垂の場合、生地は海松色(みるいろ)と呼ばれる、見る角度によって色彩が変わる美しいものが使われる場合が多い。略式では比較的安価な白衣に差袴(神職の普段着と同様)、稀に夏には統一の浴衣(俗楽の浴衣ざらいに倣う)となる。装束を統一しない場合、僧職は法衣、女性は女性神職装束や巫女装束、一般的な和服の場合がある。通常、化粧しない(女性は薄化粧の場合有り、三管の場合は口紅を塗らない)が、舞人と兼任の場合や、祭り等によっては厚化粧の場合もある。 舞人の装束は国風歌舞や謡物では白系、唐楽では赤系、高麗楽では緑、茶、黄褐色系が多い。それぞれに、特定の曲目専用の装束(別装束)と、複数の曲目で共通に使う装束(襲装束、等)がある。 曲によっては指定の仮面を着用する場合がある。仮面を付けない曲の場合や、仮面が指定された曲を女性や少年少女が舞う場合は仮面を付けずに素顔のままか、化粧(団体によっては歌舞伎舞踊と同様の舞台化粧)をする場合がある。 尚、これらの正式な装束、仮面(特に別装束、とりわけ、童舞の装束)は大変高価であるため、これらを購入できる神社仏閣、団体は大規模な神社、寺院や財政に余裕がある団体に限定される。また、童舞以外のほとんどの装束は成人男性、または女性用に仕立てられ、また、重量があること、仮面を付けた場合に視野が制約されること、長く伸びてる部分(裾、裳、等)があるため、振り付けに関しても伸びてる部分の捌き方等の難易度が高いこと、また、東日本においては伝承団体のメンバーのほとんどが成人であることと財政に余裕がない場合が多いことから、少年少女の育成に消極的な場合が多い。育成している場合でも略式なら安価な装束で済む管弦と『浦安の舞』等にとどまり、舞楽は行わないか、行う場合でも成人に限られる場合が多い。従って、童舞は特に関東地方においては希少価値がきわめて高い。
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