被害問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 02:00 UTC 版)
ヤクシカの農作物被害は少なくとも江戸時代には発生していた。1970年代からは屋久島の特産物であるポンカンやタンカンなどの樹皮食いや畑作への被害、植林木への被害が発生している。これらの被害はヤクシカが激減していた時期に始まっており、たとえ生息数が少なくても被害は起きることが指摘されている。被害対策として、1978年より有害駆除が開始され、駆除数を年々増加させている。1999年からの10年間は、農地周辺に限っての集中的な駆除を実施している。しかし、1999年の前後の被害状況を比べると、駆除を行っていない林地での林業被害額が減少したのに対し(これは被害を受けやすい若齢人工林が減ったためとされる)、農業被害額はほとんど変化がなかった。2007-8年に実施された調査では、捕獲圧が高い場所ではシカの日周活動が変化するものの、生息密度は影響されなかったことが示されている。 2000年以降、コモチイヌワラビの地域的絶滅など、自然植生や希少植物など自然生態系への悪影響が指摘されるようになった。そのため、2008年頃から山地での捕獲が再開された。2010年には、自然生態系への影響に対する対策を講じるために、屋久島世界遺産地域科学委員会のもとにヤクシカ・ワーキンググループが設置されている。このワーキンググループでは全島的にシカの個体数を調整する方向性が打ち出されている。ただし、個体数管理をすべての地域で実施することについては、屋久島の動植物の研究者らが、自然生態系保全の観点から問題点を指摘している。
※この「被害問題」の解説は、「ヤクシカ」の解説の一部です。
「被害問題」を含む「ヤクシカ」の記事については、「ヤクシカ」の概要を参照ください。
- 被害問題のページへのリンク