薬局の飽和状態による変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 07:17 UTC 版)
「医薬分業」の記事における「薬局の飽和状態による変化」の解説
利益誘導により、医薬分業が伸展していた時代、医療機関が新規開業をすると、その隣に薬局もできる風景がよくみられた(門前薬局)。しかし、一部地域では薬局数が飽和し、患者が薬局を選択するようになってきた。 本来の医薬分業を達成するためには、街中の薬局が処方箋を受ける面分業であることが望ましい。日本で導入された不完全な分業で医薬分業の当初のメリットであった「早く正確に綺麗に」調剤することは、そもそも医薬分業先進国である欧米でにおいては、調剤は調剤助手が行う仕事であり、機械化することが十分可能である。 そのため調剤薬局は、薬剤師の専門性を発揮し患者に対する新たなサービスに取り組み、新たな差別化を図ることが薬局の課題となっている。複数の病院・診療所から調剤される薬の組み合わせなどを管理する、「かかりつけ薬局」としてのアピールはもちろん、先取性のある薬局では栄養士を配置してより専門的な栄養指導を行ったり、リフレクソロジー業と提携して簡易な理学療法を紹介できる体制をとったり、介護分野において在宅薬学管理指導を行うなど薬局の機能の充実を図っている。 また、調剤薬局では患者の医療の安全性を上げるため、お薬手帳を配布し処方調剤内容を記載している。1回の記載に付き1割負担の場合は10円、2割負担で20円、3割負担で40円負担金が安くなる(2020年4月からどの薬局においても適用、かつては調剤基本料によっては負担金に影響が出ない場合もあった)。糖尿病患者が路上で倒れた場合、お薬手帳を持っていることで、服用している薬から低血糖と判断され、グルコースの投与により延命に繋がったり、東日本大震災や平成28年熊本地震などの被災地では、お薬手帳を持っている患者は、どの薬を服用しているのかをボランティア医療スタッフに伝えることで、スムーズにボランティア医師より処方を受けることが出来たりするという利点がある。さらに、発売から1年以上を経過した薬剤については、15日以上の長期処方が可能な薬剤が、向精神薬を含め増えつつある。 米国など欧米の多くの国では、リフィル処方箋という処方制度で、14日分を数回調剤が可能である。日本ではそれに似た制度として「分割調剤制度」があるが、薬剤師が薬物治療のマネジメントを行う、本来のリフィル処方箋とは異なるものである。
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