薬剤との合食禁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 17:38 UTC 版)
一般的には「食べ合わせ」という呼称よりも「飲み合わせ」という呼称が用いられる。特定の薬剤と食品中の成分が体内で相互作用を起こし、薬効または副作用が極端に強まったり、減衰したりする。 グレープフルーツと多くの薬剤: カルシウム拮抗剤、免疫抑制剤、抗不安薬、高脂血症薬、抗エイズ薬など幅広い薬剤で、薬効が強まることがある。急激な血圧降下が見られることもある。グレープフルーツ中のフラボノイド類と、体内の酵素のCYP3A4が相互作用を起こしているという報告がある。「グレープフルーツジュース#薬物相互作用」も参照 アルコール飲料と一部の医薬品: インスリンや経口血糖降下薬といった糖尿病の治療薬は、酒と合食することで激しい副作用が生じたり、重篤な低血糖を招くため禁忌である。またバルビツール酸系の鎮静剤、睡眠薬・三環系抗うつ薬・抗ヒスタミン薬との合食は、薬効が強まり、中枢神経の活動を過度に抑制し、意識障害や呼吸困難に陥り、最悪の場合死亡してしまうため禁忌である。 牛乳と一部の抗生物質・抗菌薬: テトラサイクリン系抗生物質やニューキノリン系抗菌剤は、金属イオンとキレートを形成する部位を有する。このため牛乳と服用すると薬物が不溶化し、吸収効率が下がる。また一部のβ-ラクタム系抗生物質も、牛乳により吸収が阻害される。 多数の食品と抗菌薬: 抗菌薬のイソニアジドは、チーズ・ワイン等に含まれるチラミンや、魚の干物等に含まれるヒスタミンの分解を阻害するため、分解できなかったチラミン・ヒスタミンの毒性により動悸、腹痛等が起きることがある。 ニンニクと抗凝固剤: ニンニクが有する抗血小板作用により、抗凝固剤ワルファリンの薬効が下がることがある。 ビタミンB6とL-DOPA: パーキンソン病の治療に用いられるL-DOPAは、ビタミンB6により分解しやすく薬効が下がる。 ビタミンCと卵胞ホルモン剤: 卵胞ホルモン剤のエチニルエストラジオールは大量のビタミンCにより吸収効率が上がり、出血を生じることがある。 ビタミンDと一部の強心薬: 強心薬のジゴキシンと大量のビタミンDを摂取すると、高カルシウム血症により副作用が強まることがある。 ハーブ・イチョウ葉と各種薬剤: 健康食品等に含まれるハーブやイチョウの葉は、種類によっては各種薬剤の働きを阻害することがある。
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