薬価差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 07:35 UTC 版)
医療機関や調剤薬局は、健康保険組合に対して、患者に使用した薬剤費を薬価基準どおりに請求する。しかし、医薬品の取引価格に関しては規制がないため、医薬品卸業者から薬価よりも低い金額で医薬品を仕入れることができ、この差額が薬価差益として薬漬け医療の原因とされた。 1986年に23.0%だった薬価差(率)は、度重なる薬価切り下げで2004年には6.3%まで急減した。しかし、薬の維持・管理、期限切れ薬の処分などの費用なども考えると、薬価差益どころか薬価差損を生じていると主張する人もいる。ただ、薬の維持管理費用などが予め薬価に含まれているという明確な規定はなく、医療上、公定薬価と市場取引価格の差額についての見解には曖昧な部分が残ったままである。 薬価は2006年4月まで2年に1回の薬価改正で改定されてきた。厚生労働省は薬価の隔年改定を2007年度から毎年改定とする検討を始めた。しかし、医薬品業界の反発のみならず米国政府の強い反対にもあって導入を見送りつつある。しかし、隔年改定の間の「中間年」における改定で、収載薬価と市場実勢価格との乖離が大きい品目についての価格帯について議論が進んでいる。 また、厚生労働省は販売前の販売予想を大幅に上回る売り上げを上げるようになった医薬品については、現行の薬価算定ルールに関係なく強制的に薬価を引き下げる「薬価再算定」を行なうことも視野に入れている。既に過去の薬価改定時に再算定が行われた医薬品もあり、2008年4月の改定においても高血圧治療薬として評価の高いアンジオテンシンII受容体拮抗薬が明確な根拠のないまま全体の改定率を大きく上回る薬価引き下げを受けた。これに対して「市場から有用性について高い評価を得てヒットした医薬品の価格を強制的に引き下げることは、製薬会社の研究開発意欲を減退させ、医療の進歩を後退させることにつながる」と製薬メーカーは猛反発している。 また、新規収載される後発品の薬価は先発品の6割の薬価としてきたが、2018年度から5割で算出(10品目を超える内用薬は5割から4割)し、先発品と後発品の薬価差を拡大することとなった。 2008年現在、薬価は基本的にR2方式で改定される(R=リーズナブルゾーン)。 R2方式 現行薬価100円、納入価格90円(本体価格。消費税込み94.5円)の薬の場合。新薬価=(現行納入価格90円×消費税105%)+(調整幅として旧薬価×2%)=96.5円
※この「薬価差」の解説は、「薬価」の解説の一部です。
「薬価差」を含む「薬価」の記事については、「薬価」の概要を参照ください。
- 薬価差のページへのリンク