舞台初演
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 01:08 UTC 版)
「カヴァレリア・ルスティカーナ」の記事における「舞台初演」の解説
1890年5月2日、マスカーニは初演のため再びローマに赴いた。改稿された総譜をもとにコスタンツィ劇場ではすでにリハーサルが進行中だった。指揮者ムニョーネのアドヴァイスを受けて、更なる修正もなされた。またマスカーニにとって心強かったのは、ソンゾーニョ社はこの新作のために経験豊富なオペラ歌手夫妻、ロベルト・スターニョ(イタリア語版)(テノール)とジェンマ・ベッリンチョーニ(イタリア語版)(ソプラノ)をそれぞれ主役トゥリッドゥとサントゥッツァに配役してくれていたことだった。スターニョは50代半ばで声の盛りは過ぎていたものの、自信に溢れた舞台態度で、マスカーニと同世代、まだ26歳のベッリンチョーニは情熱的な演技とドラマティックな歌唱で、後にヴェリズモ・オペラの代表的ソプラノと評されることになる逸材だった。 最終審査を控えて、『カヴァレリア・ルスティカーナ』の前評判は他の2作品を圧していた。フェローニの『ルデッロ』は演奏上の難点がリハーサル段階で露呈していたし、『ラビリア』の作曲者スピネッリはマスカーニに「君の作品のリハーサルを聴いたよ。素晴らしい。それに比べれば自作は薄っぺらいものだ。自分は今、自作が君の作品より先に上演されることを知って神に感謝しているよ」と賛辞を贈る始末だった。 5月17日、コスタンツィ劇場での初演は(マルゲリータ王妃の臨席はあったが)それでも満席にはほど遠いものだったらしい。しかし居合わせた聴衆にとって、この短くもドラマティックな新作は衝撃的であり、公演後作曲者は演奏者と共に60回ものカーテン・コールを受けたという。第2夜からはチケットは完売となり、コンクール審査作品としては異例なことに、劇場は合計14回もの再演を行った。 コンクール審査委員会は全会一致で『カヴァレリア・ルスティカーナ』を最優秀作品に選出、またマスカーニはそれとは別途、ソンゾーニョ社と2年半で15000リラともいわれる条件の独占契約を締結した。初演後3年間のうちに、イタリアの66都市、イタリア国外の62都市で『カヴァレリア・ルスティカーナ』は上演された。ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティ、そしてヴェルディに続くオペラ大家の誕生を誰もがこの時点では確信していたのだった。
※この「舞台初演」の解説は、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の解説の一部です。
「舞台初演」を含む「カヴァレリア・ルスティカーナ」の記事については、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の概要を参照ください。
- 舞台初演のページへのリンク