自由と自己責任
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 01:03 UTC 版)
参加者は、素晴らしい経験をする人もあれば、最悪の経験をする人もいた。一部の人は幸運なことにエサレンでの危険性のあるチャレンジに成功し、エンカウンターグループでの経験をその後の生活に生かすことができた。ここでの経験を通し精神が不安定になったり、狂気に陥る人もいたが、エサレンのリーダーの一人である心理学者ウィリアム・シュルツ(英語版)は、自分で責任を取るなら何をしても良いと考え、どんな結果でも自分で挑戦したのだから自己責任であると答えていた。 マーフィーの友人ワーナー・エアハードは、ヒューマン・ポテンシャル運動の成果を取り入れ、アメリカの伝統的な成功哲学やニューソート的なポジティブシンキング、セルフヘルプ、セールスマン精神を取り入れて作った自己啓発セミナーのエアハード式セミナー・トレーニング(英語版)(略称:est、エスト)は、自己責任を強調し、「すべての人間は自分の人生を全く自分で作るものであり、どんなことが起こっても自分に責任がある」という、100%現実を自己に帰するポジティブシンキングを綱領に掲げて活動した。この綱領には、常識と社会意識、他者への共感が欠如していた。「全ては個人の責任」だというエサレンの倫理は、ワークショップに参加することの冒険的な面と利点を表し、同時に外部からの非難を防ごうとする対応でもあったが、そうしたバランス感覚は失われていった。W・T・アンダーソンは、全宇宙を人間の意思で従わせることができるという狂信のようなものになっていったと述べている。ヒューマンポテンシャル運動では、estが導入したポジティブシンキング、人の意志と思考に無限の可能性があるとし、現実はその人の思考次第だとする考えを受容する人もそれほど受容しない人もいたが、その影響は大きかった。ウィリアム・シュルツはestの影響を強く受け、人が望まずに環境の犠牲になることはなく、自然の法則が機能するのは望んだときだけであり、人は人生を支配することができ、人は犠牲になりたいと思った時にだけ犠牲になるのだと主張するようになった。
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