自由と束縛の間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 08:28 UTC 版)
臨画の束縛と自由画の自由はどちらも結果としてうまくいかなかったが、キミ子方式の実践家である堀江晴美は「自由は束縛から生まれる」として、「肝心なことは1人1人声をかけて束縛します。〈束縛なんてヒドイ。生徒がかわいそう〉という人がいます。しかし、それは今までのありきたりのやり方に安住しようという生徒を、そのまま放っておくことでしかありません。束縛するということは、新しい道へ誘うことです。今までのやり方から解き放つこと。束縛されることによって人は本当に自由になるのです」と述べている。 キミ子方式を継続的に研究した松本昭彦は、教員養成課程の絵画指導を行う中で、将来教師になるであろう学生を対象に授業を行い、学生による感想や授業調査評価を報告している。否定的な意見はほとんど無く、全員が同じ描き方をしているのにできあがった絵は個性的である、集中して丁寧に描けた、細かく描く順番が決まっていてうまくできた、リアルに描けたなどが報告されている。キミ子方式で描画指導を行った授業の評価についても、否定的な学生は少数で9割以上の学生がキミ子方式を取り入れた授業に対して、意欲的であり肯定的な評価をしている。 松本昭彦は、色を作ったり絵を描くにあたりルールがあっても不満や不自由を感じる学生はおらず、ルールという困難さを含めて楽しんで色作りをするからこそ、全員の作品が異なって見える、個性的であるとし、描き方のルールがあるからこそ迷いなく安心して取り組むことを可能にし、後戻りできない描き方によって集中して書くことができる、という利点をあげている。また松本昭彦は「絵に描き方はない、絵に教え方がないのならば、絵画教育そのものの存在理由がなくなるのではないか」とした。
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