能の略式演奏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 02:24 UTC 版)
能一曲を演じるとおよそ1時間ほどかかることから、短い時間で鑑賞するため、あるいは稽古の過程として、略式の演奏形式が整えられている。 仕舞(しまい) 舞手と地謡数名とが曲中のハイライトとなる舞を上演すること。5分~10分程度の長さ。仕手(舞手)は能装束ではなく紋付き袴を着る。また面はかけない。 「クセ」とは、曲舞という能以前にあった芸能で、観阿弥世阿弥親子が能の中心に取り入れ、長い平ノリの地謡にあわせて舞う部分、「キリ」は能の終わりの部分。「○之段」という印象的な名場面の名称もある。 舞囃子(まいばやし) 仕舞に舞事や働事(上記参照)を加えて、舞手と地謡数名と囃子方が参加することで一曲の主要部分を舞うこと。10分~20分程度の長さ。仕舞同様、舞手は装束・面を用いないことが多い。 半能(はんのう) 主に脇能または五番目曲の前場を短く省略して上演すること。詳細は半能参照。 素謡(すうたい) 地謡(および役謡)のみで一曲を上演すること。囃子方は伴わない。間狂言も省かれるのが普通。 囃子謡との対語として素謡という表現が用いられることがあり、能一曲を謡うことを特に「番謡」と称する場合もある。 連吟(れんぎん) 素謡の形式で、曲のハイライトのみを謡う。 連調(れんちょう) 謡(一名もしくは数名)と1種類の打楽器が数名で、能の一部分を演奏する形式。 一調(いっちょう) 謡一名と1種類の打楽器が一名で、能の一部分を演奏する形式。一調用の替えの手を打つこともある。 一管(いっかん) 笛一名による演奏。普段の能では吹かない曲を演奏する場合もある。 一調一管 笛一名と1種類の打楽器が一名による演奏。一調用の替えの手を打つこともある。 素囃子(すばやし) 囃子方による演奏のみで上演すること。 番囃子(ばんばやし) 地謡と囃子方で一曲を上演すること。能の音声部分の上演。 居囃子(いばやし) 地謡と囃子方で曲のハイライトを上演すること。舞囃子から仕手の舞を取った形式。
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