編成に関する特記事項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 16:21 UTC 版)
「交響曲第9番 (ドヴォルザーク)」の記事における「編成に関する特記事項」の解説
フルート、ピッコロ 第1楽章に4小節間だけ用いられているピッコロについて、自筆総譜ではフルート第1奏者が持ち替えて演奏するよう指定されている。一方、初演の際に用いられた手書きパート譜やそれ以降の出版譜は、オーケストラの一般的な慣習に従い、第2奏者が持ち替えて演奏するように編集されている。 第1楽章の再現部では、第1奏者を休みとして第2奏者が(ピッコロではなくフルートで)ソロを演奏するように指定されているが、理由は不明である。 イングリッシュホルン イングリッシュホルンは第2楽章にのみ用いられ、有名な長いソロを含めて3回登場するが、このパートをどのように(2名のオーボエ奏者のうちどちらかが持ち替えて、または別の奏者を用意して3名体制で)演奏するべきかについては複数の見解がある。自筆総譜では、楽章冒頭の楽器一覧にはイングリッシュホルンが挙げられておらず、実際の音符はオーボエの段に書かれている。そこに奏者の指定などがないことから、この点についてのドヴォルザークの意図は不明とされる。初版パート譜では、オーケストラの一般的な慣習に従い、オーボエ第2奏者が持ち替えて演奏するようになっている。しかし、楽器の持ち替えのための休みが1小節未満ときわめて短い箇所があることから、イングリッシュホルンを(持ち替えではなく)独立したパートとして扱う楽譜も存在する。実際、初演の際に用いられた手書きパート譜ではイングリッシュホルンが独立しているほか、チェコスロバキア国立文学音楽美術出版社によるドヴォルザーク全集版(オタカル・ショウレク校訂、1955年)をはじめとする後出の批判校訂版は、総じてイングリッシュホルンのパートを独立させている。 チューバ チューバの使用箇所は第2楽章のコラール部分のみ、合計10小節にも満たない。しかもバス・トロンボーン(第3トロンボーン)と全く同じ音(ユニゾン)である。これについては、初演時のオーケストラで第3トロンボーン奏者がバス・トロンボーンを用いていなかった(代わりにテナー・トロンボーンを用いた)ための代替措置に起因するという説がある[要出典]。 シンバル この曲の中で、シンバルは全曲を通して第4楽章の一打ちだけであることがよく話題となるが、奏者についてはトライアングル(第3楽章のみ)の奏者が兼ねることが可能である。この一打ちが弱音であるためか、「寝過ごした」「楽器を落として舞台上を転がした」などのエピソードが存在する(倉本聰はかつてフランキー堺主演で、この一打を受け持つ奏者の心理を描いた短編TVドラマを書いている)。実際クラシック初心者にとってシンバルの音はなくても気付かない、あるいはどこで鳴ったのかわからない等と言われることもある。
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