全集版(第1楽章のみ)
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「交響曲第10番 (マーラー)」の記事における「全集版(第1楽章のみ)」の解説
国際グスタフ・マーラー協会は、作曲者以外の手の加わらないスコアを正統とし、クックらによる補筆に否定的な立場をとった。したがって、協会が出版した「全集版」の第10番は、補筆なしで演奏可能な第1楽章のみである。現在も「全集版」による演奏・録音機会は多い。 オーケストレーションは、補筆完成版がスコアの空白部分などに楽器を充填しているのに対し、「全集版」は空白部分をそのままにしてあるので、比較的響きが薄いという特徴がある。また、「全集版」第1楽章は、嬰ヘ長調(シャープ記号6個)という調号の上にさらに追加されるダブルシャープなどの煩雑な臨時調記号が、自筆譜を尊重するという立場からそのまま採用されており、演奏時にわかりにくい面がある。このためクルシェネク版やクック版などの補筆版は異名同音処理によってこの煩雑さを避けているが、これらを「全集版」と比較すると、実際の音程が半音ずれてしまっている箇所がある。 1964年、エルヴィン・ラッツ監修によりウニヴェルザール出版社から出版。 なお、国際グスタフ・マーラー協会から、概略版として清書された楽譜がウニヴェルザール出版社から出版される予定となっている。
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