全集版の刊行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/10 14:37 UTC 版)
「ドリトル先生物語全集」の記事における「全集版の刊行」の解説
岩波少年文庫では井伏側の執筆事情などから上記のような飛び飛びの翻訳が行われて来たが、各巻のあとがきで未翻訳の巻が存在することを知った読者からは「全巻を日本語で読みたい」と言う要望が編集部に数多く寄せられ、またこの時期が岩波少年文庫の第2期ラインナップ(全72冊)の完結に伴いハードカバー重視の路線へシフトする時期と重なったことから、初訳の7巻分を含めた全巻の日本語訳が愛蔵版『ドリトル先生物語全集』全12巻として刊行されることになり、1962年(昭和37年)7月に全巻の日本語訳が完成した。 この全集における井伏の訳は児童文学作品であることを考慮し、全編にわたって読みやすい口語の文体を採用しており、阿川弘之が岩波書店の雑誌『図書』1961年10月号において「井伏訳の見事さ -ドリトル先生物語について-」と題するエッセイで本訳を絶賛しているのを始め、名訳として評価が高い。 なお、井伏の述懐によれば第9巻『月から帰る』は東北地方を旅行中に翻訳していたが、仙台行きの列車内で原稿70枚分が(恐らく、札束の入った封筒と誤認されて)盗難に遭い警察へ被害届を出すと共に『週刊新潮』の「告知版」欄で犯人に返還を呼びかけたものの見つからずじまいとなり、一から翻訳し直すことになったとのことである。
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