継続給付の要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 15:11 UTC 版)
退職などにより被保険者の資格を喪失した場合でも、その前日(退職の当日)まで1年以上継続して被保険者の資格を有しており、傷病手当金の給付要件を満たしていれば、引き続き傷病手当金の給付を受けることができる(第104条)。受給手続きは在職時の場合と同様であるが、事業主の証明は不要である(昭和2年2月15日保理658号)。 前記の給付要件に準じるほか、次の要件がある。 退職の当日まで1年以上継続して被保険者の資格を有していること(任意継続中の期間は含まれない)。この場合は必ずしも同一の保険者でなくてもよく、また資格の得喪があっても1日の空白もなく被保険者資格が連続していればよい(附則第3条6項)。 任意継続被保険者となる場合の要件と異なり、この場合は任意適用事業所の取消による資格喪失も含まれる。 船員保険の場合は、「1年以上継続して」が「1年間に3か月以上、また3年間に1年以上の強制被保険者だった者」となる(船員保険法第69条6項)。 資格喪失時に傷病手当金の支給を受けている、又は受けうる状態にある者(報酬との調整のために支給が停止されている場合を含む)。休み始めて3日目に退職した場合、待期は完成するが「支給を受けうる状態」とはならないため、継続給付を受けることはできない(昭和2年9月9日保理3289号、昭和32年1月31日保発2号)。 退職日まで年次有給休暇扱いで報酬の全額が支給され傷病手当金が支給されていない場合、「支給を受けうる状態」と取扱い、継続給付を受けることができる(昭和5年4月24日保規270号、昭和32年1月31日保発2号)。 在職中、退職日、退職後のいずれも疾病や負傷により業務に従事できないこと。退職日当日に出勤の事実がある場合(労務不能と認められない場合)、退職後の傷病手当金給付は受けられない。例え職場への挨拶目的、私物整理、会社関係者との面談だけであっても出勤とされる場合には、給付が受けられないことになる。 退職後の「労務不能」とは、事業場において従事した当時の労務に服することができないのと同程度のものをいう(昭和2年4月27日保理発1857号)。 支給の除斥期間(暦日で1年6か月経過)を過ぎていないこと。資格喪失後の傷病手当金は、資格喪失前後を通算して法定の支給期間が終了するまでの期間支給される。なお、被保険者期間中とは異なり、断続しては受けられないので、いったん支給が打ち切られると、1年6か月の期間中であっても支給が復活することは無い(昭和26年5月1日保文発1346号)。また、請求手続を行わなかったために権利の一部が時効で消滅した場合、まだ時効の成立していない残余の期間についても支給されない。 傷病手当金は原則として任意継続被保険者には支給されないが、上記の要件を満たす者が任意継続被保険者となった場合には支給される。なお、同一の健保の任意継続被保険者でないと給付しないとする健保組合も一部に存在する。退職後の給付には付加給付が付かないか、または任意継続被保険者であることを要件とする組合もある。また、特例退職被保険者は上記の要件を満たしても傷病手当金は支給されない(附則第3条5項)。なお船員保険の場合は疾病任意継続被保険者(健康保険における任意継続被保険者に相当)又は疾病任意継続被保険者であった者に対しても傷病手当金は支給されるが、当該被保険者の資格を取得した日から起算して1年以上経過したときに発した傷病については傷病手当金の支給は行わない(船員保険法第69条4項)。 健康保険の被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、船員保険から給付が行われるので健康保険からは傷病手当金の継続給付は受けることはできず、また選択の余地もない(第107条)。
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